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アタシは好きでハイドロレイダーに乗っているわけじゃない。
仲間と出会えたことは良かったけど、搭乗を楽しんでいるわけじゃない。
いつも怖いし、憂鬱な気持ちになる。
やる人が居なかったから、やっていただけだ。
このまま体制が整って、沢山の搭乗者が生まれたら、アタシは要らなくなるのかもしれない。
……そういう風に割り切れない気持ちは何だろう——。
シュウジの顔が浮かぶ……
「姉!こっちだよ」
差し出された手に、笑顔に、アタシは引っ張られていただけだ。
「やってみようよ!!」
無理、嫌だ、やりたくない……何度も言った。
「はい、カフェラテ淹れたよ」
ちょっと頑張れるかも。そう思った時もあった。
「実華なら出来ると思うよ」
出来ないよ……アタシは、アンタとは違うから……。
あんまり要らないほうの……『シュウジ君のお姉ちゃん』だから……
「ミカ?大丈夫?」
幸子の手に気づかなかった。
「ミカもイス、座る?……仮眠室行く?」
優しい幸子の瞳……。
周りはいつだって優しかったのかもしれない。
休んでもいい、ゆっくりで大丈夫。きっとそう言ってくれていた筈……
でも
……それでも——。
……自分自身が嫌で仕方がない——。
でも——。
「ミカ?」
「……ここに……居る。アタシも」
そう決めたのは自分だ。




