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「シュウジが居たら喜びそうだな」
「……え?」
隣で水を飲んでいたジュンがぽつりと言った。
「巨大飛行艦……だぞ」
……確かに、巨大飛行艦の作戦なんて、不謹慎にも目を輝かせるに違いない。
砲台をいくつも備えた灰色の空飛ぶ巨大イージスは、シュウジの夢を形にしたみたいな姿をしている。
「大丈夫だよ、ミカ⭐︎みんな、ちょっと笑ってるでしょ?⭐︎そういう時ってさ、だいたいなんとか成るもんだよ。いい方向にさ。ね?」
ミネラルウォーターのCMみたいな幸子から受け取った水は、冷たくて少し頭が冷えた。
けどアタシは聞かずにはいられなかった。
「何で、みんな笑えるんだろう……」
「俺は、怖くて仕方が無いが?」
ジュンはパイプ椅子にどかっと腰を下ろした。
「さっき友だちになった奴が、酷い目にあったり、居なくなったり……正気の沙汰じゃない」
「……じゃあ、何で搭乗ってるのよ、ジュン氏」
幸子もパイプ椅子に座った。
「どちらにしろ後悔するからだ」
ジュンは何かを思い出すみたいに言葉を詰まらせた。
「……言い訳が出来るだろう、一応やっていれば。俺は鑑原三女、貴様とは違う」
「ちょ!☆ジュン氏!!キサマとか言わないでよね!絶対に!」
言い訳……アタシもそうかもしれなかった。




