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ブルーホールの中は、静まり返っていた。
水の音……。
深い、深いブルーの中で、イリディセントレイダーの瞳だけが、うっすらと光っていた。
宵闇に輝くおぼろ月みたいに。
前にも後ろにも動けないブルーの中で、アタシだったら……苦しくて、泣きたくなる。
言葉を重ねたくなる。
だけど、さっきまで元気に談笑していたロボ菜ちゃんは、ひっそりと息を潜めて成り行きを待っていた。
「リイヤ、遠隔で尾を操作する。尾に重力を感じたら、振り返らずに上昇するんだ」
「分かった。……信じるよ、宗」
「フフ、失敗したらリイヤも糸生さんも3ヶ月海の底だ」
「キッツイな(笑)」
「まぁ気楽に行こう!」
「宗ちゃん、アタシにも何か出来ること……」
「ありがとう、みっちゃん。今から海蛇と糸生さんの緑虎のしっぽを連結して、引っ張り上げるつもりだ。二人は共にHMWに耐性があるから、大丈夫だと思う。釣り上がったら、玲鷗のナノゲイルレイダーの竜巻で巻き上げて甲板で拾う。母艦のアクアフルールを全開にしてね。ナノゲイル一機守り切れるかどうか……というところだから……糸生さんが戻って来たら、医務室で付き添ってくれるかな?」
「分かった」
そう言うしか無い自分……
いくら心を痛めても、拳を握りしめても




