239
ピー……ピー……ピー……ピー……
誰かのホログラムモバイルが鳴ってる。
「キュロス君の……じゃない?」
リディアがリイヤ・キュロスの制服のポケットを指差した。
「俺のか。まだあんまり使ったこと無いんだよねぇ」
リイヤはいい奴だと思うけど、まだ暮らしが謎だ。
サブロー直下のみんなと違って、地下基地に住んでるわけじゃないし。
オオカミのような灰銀のウルフヘアーにアンバーアイ。朗らかな性格からただの高校生にも見えるけど、神妙な面持ちは本当のオオカミのようにも見える。
「えっ」
2-3の搭乗経験者は、HyLA-Firstのアタシたちと昨日搭乗したロボ菜ちゃんだけの筈
でも今、光が放たれているのはリイヤのモバイルだった。
—— Acceptation or Rejectionか——
「あぁ——……出撃たこと無いんだけどねぇ」
リイヤは頭を掻いている。
「リイヤ、糸井さんのサルベージだけど、このままだと……2週間かかる」
「えっ、キッツイな、それ(笑)」
「操縦カプセルの生命維持装置は3ヶ月は持つ。けど、保証が……無い」
リイヤの指が動いた。
「指示はしてくれるんでしょうね?……宗」
リイヤの指先でAcceptationの文字が青く光った。
灰銀のライズブレスがワープシートに変わる。輝きながら。
「艦橋から指示は出す」
「あー……怖っ(笑)!帰りたいわー……」
そう言ったリイヤの口元には微笑みが在った。
艦橋が——揺れた




