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「霧谷君」
白くて小さな妖精みたいなリディアが玲鷗の側に寄ると、ファンタジーの世界観。
向こうのコートに見える魔王が揃ったら、完全にRPGだ。
「コレ、使って。サングラスだから」
「ノーマン、いいのか?」
「大丈夫。コンタクトもある」
眼鏡を外したリディアのウサギみたいに真っ赤な瞳は、すぐに一般的なアンバーアイになった。
幸子がよく使ってるホログラムアイウェアと同じ仕組みだろう。
玲鷗が受け取った小さな丸眼鏡は、魔法がかかっているみたいに、玲鷗にぴったりの大きさに変わったのはいいけど……なんか、輩感がさ!
「その手があったか☆」
幸子の瞳も飴色から綺麗な黒に変わる。
「これね、UVカット機能もあるんだよ☆ゴーグルおじさん!さ、来ーい!!」
幸子が体制を低くしてサーブに備える。
アタシはジャージの裾をくい、っと引っ張られたのを感じた。
「えっと、私のサングラス、予備もあるから良かったら使って?」
白く輝く髪をお団子に纏めた小さなリディア・ノーマン。なんだこの可愛い生き物は……と思うけど、年齢は玲鷗と同じ高2らしい。
「あ、ありがとうございます」
サングラスがアタシにピッタリのサイズに変わる……し、ホログラムモバイルに連動のもの凄いいいやつだコレ!
「勝とう、ほっしーちゃん」




