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「えっいつの間に……」
というか、宗ちゃんも机で眠っていた。別に……みんなで帰る約束してたわけじゃないけど。
「ミーっカ!お疲れ~~~☆☆☆わ、この教室すっごい綺麗ー☆☆☆」
幸子のベージュのスカーフが夜景を映したみたいにうっすらと光っている。
「あれージュン氏は?ま、いいけどさ☆」
幸子が現れて、急に学校のドキドキが戻って来たみたいに、あったかくなる。
「さー?たぶん帰ったんじゃない」
「ジュン氏らしいねー。てゆか私たちも帰ろ☆☆☆お腹空いちゃったしさ!」
昼間、あれだけドーナツ食べてたのに、幸子って結構食べるよね。
「いーの☆頑張ってるしさ☆」
がやがやと階段を降りて行くと、夜の空気。
少し薄暗くて、街の灯りが輝いている。
「今日のごはん、なにかなー☆」
完全にウチで食べる気だね、これは。まぁいいけどさ。
ふぅ、とため息をついて、街の灯りに見惚れる。
この路地の先にワープエリアがあって、アタシは三叉路を思い出す。
懐かしいような新鮮な気持ちだ。
いろいろ、街を探検してみたいな。好きになりたい。
高い所から星みたいに見えた景色は、思いのほか優しくて親しみが湧いた。
「ねぇ!ほっしーだよね!」
秘密を暴くみたいなわくわくした声が、アタシを振り返らせた。




