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「広……」
青空のような青の空間に、アタシたちはワープした。
透明な青が、どこまでもどこまでも続いている。
亜空間シェルターのような場所かもしれないけど、どこまで行っても、境界の膜が見えなかった。
サブローが手をかざすと、発光するモニターが現れた。
「君たちの健康状態を測るから、そこに立って。OK、健康だ」
それから、ハイドロレイダーのコックピットにあったようなカプセルが現れる。
「OK、乗ってもらえるかな。そうそう。操縦管を手前に引いて」
フェイクモニターに、ハイドロレイダーの手元が映る。
レイダーの手首から、指揮棒のようなものが射出されて、アタシは掴みそこなった。
「大丈夫。なんどかやろう」
やっと掴めるようになっても、アタシの攻撃は的に当たらない。
「アタシって要るんですかね……」
「要るんだ。レイダーは搭乗者同士の合力を増幅して力に変えるからね。そうだ、あれをやってみたらどうかな」
サブローは弟が考えた口上を空で唱えた。
「絶対嫌です」
「そう?言霊ってさ、力になるからさ」
「集中力も上がりますヨー」
弟が言った。
あたしはため息をついてフェイクモニターを見つめる。
「……薄明の光が白炎とナル。俺……じゃない、アタシの力をヒカリに変えて」
あれ、……なんか。
「降り注げ!ディストレス!!バーキング!!アロー!!!!うそっ!」
的は綺麗に消失した。




