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銀色のラメがかかった雨粒の模様の水色のサイン帳。
マツから受け取ったそれは、沢山の色のサインペンや色鉛筆で飾られていて、みんなの笑い声が溢れてくるようだった。
「これ……アタシのサイン帳の中身じゃん……いつの間に……」
シュウジだ。
シュウジに決まってる。
ほっしー、本当にありがとう。
私たちの未来が繋がったのは、ほっしーのおかけだよ。
星ヶ咲偉い!
ほっしーかっこいい!!
ほっしー、中学に行っても宜しくね。
ありがとう、また会おうね!
……それぞれの色のカラフルな23枚のサイン帳からありがとうの言葉が伝わってくる。
ほっしぃ、またね・ω・v
Vサインのシンプルなイラストと、綺麗なシンプルな文字のやつは絶対ショーコが書いたやつ。
アタシが振り返った時には、ショーコはもう自分の席に手提げを引っ掛けていた。
みんなもう、自分の身なりを整えたり、いつもの他愛ない話をし出してる。
目立つの好きじゃないアタシはそれが嬉しかった。
「ね、ショーコ」
「ん?」
何故か、ショーコも少し嬉しそうに見える。
「間に合って良かったって思ってもいいかな?」
ショーコは何が?とか何に?とは聞かない。
「そだね」
アタシも手提げ鞄を丁寧に机に引っかけた。
防災頭巾は持って帰ってしまったので、席に座ると少し冷たくて、暖かい。
誰かが、黒板に書き足していた。
——&、卒業おめでとう




