表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
閉ざされた世界……——サクラ、花冷え、花曇り
179/735

174

「お、お菓子も食べる?今度二人が来た時に出そうと思ってた羊羹ようかんなんだけど」


 食器棚のおやつスペースから羊羹ようかんが出て来て、幸子さちこが目を輝かせる。


 そういえば、夕ご飯食べてない……


 羊羹ようかんの優しい甘みが、アールグレイと一緒に体に染みていくのが心地良かった。


「ショーコさん、もごもご、お母さんも家ですか?」


 シュウジよ、食べるかしゃべるかどちらかにしておくれよ……


「あぁ、母さんは買い物に行ってて……」


「ってコトは、ショーコちゃんのお母さんはホントの新宿ってことだね☆」


「良かった……」


 アタシは安堵した。


 じゃあ、飲み終わったら直ぐにワープすればいいんだ。


 ほっとして紅茶をすすろうとしたけど、幸子さちことシュウジの様子がおかしい。


「あのね、ミカ。私、さっき皆んなに触れてる状態でワープボタンを押したんだけど……ちょっと装置が効かなかったっていうか……あ、私は知ってたよ、ショーコちゃんのお母さん買い物に行くって言ってたから居ないってコト」


「えっ、それはわかったけど、それって……」


「僕もさっきからサブローさんに通信しようとしてるんだけど……ちょっと電波が悪いっていうか……」


 いやいやいや、いや待って。


「つまり……つまりアタシたちってさ、」


 幸子さちこもシュウジも、ウフフ、ふふふと微笑みながら、やけに優雅に紅茶を口に運んだけど、アタシのカップはカチャカチャと鳴り始めた……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ