169
「真紅の爆炎☆☆☆☆☆☆」
真紅い、炎に包まれて、猿たちは、次第にその数を減らしていた。
冷たい風が吹く。
神秘的な、自然に囲まれた石が敷かれた坂道をずっと歩くと、頂上へ続く階段が現れる……筈だった。
あの遠足の日の青空に、亜空間の朱が混ざって、闇に映る桜色のような不思議な紫の空間は、アタシたちを美しく虚に見下ろしていた。
「どうする!?」
幸子が叫ぶ。
「たぶん、ショーコはこの上に居る」
筈なのに……。ピンクのような紫の空間が広がるばかりだった。
「……カ君!思い出すんだ!遠足の時に登った道を!」
「サブロー!どういうこと!?」
「その空間は、君たちの記憶から成り立ってる!記憶の欠如により階段が瓦解してしまっているようだ。記憶の中の道を、強く思い出すんだ!」
「ゴメンミカ!私……パーソナルヘリで頂上に行っちゃったから……思い出せる!?」
「や、やってみる!」
でもムリ……。遠足は楽しかったけど、階段登りはあの頃のアタシにはすっごく辛くて、へとへとでいっぱいいっぱいで……記憶なんてない!
辛かったことなんて忘れちゃうよね!?
「真紅の爆炎!!!サブロー氏、思い出せなかったらどうなるの!?」
勢いが衰えたアタシたちに、猿たちが再び襲いかかる。
「良し、作戦の練り直しだ」




