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「な……何……なのォ!ここは!!!」
エリア高尾山の緑に囲まれた麓のケーブルカーの駅。小2の時の遠足で行ったから良く覚えていた。
賑わい、美味しそうな看板が並んだ趣のある店々には、優しそうな店主さんの代わりに……大量の猿が溢れ、こちらを猛る瞳で見つめて騒いで、今にも襲いかかろうと、木刀やそこらじゅうのものを握りしめていた。
一斉に……——来る!!!
「真紅の爆炎☆☆☆」
幸子のピンクのガントレットが光って、真紅の水素針からコランダムブレイズが放たれ、小猿たちが消えていく。
「な、なんか魔法少女みたい☆☆☆ぎゃー!なんて言ってる余裕ないーっ☆☆☆アクアフルール!!!大丈夫!?ミカッ」
「——なんとかっ!!!」
……じゃないけど、アタシは探さなきゃいけない。
「ミカ!あっちだ!」
ケーブルカーは動いてない!
アタシたちは山道を見つけて走り出した。
あの時はケーブルカーで行ったから分からなかったけど、結構高い山。
アタシは毎日筋トレしてるけど、生身でこんな山登りなんて聞いてないし!小猿が振り切れない!!!
一応アタシの両腕にもガントレットが装備されてるし水素針も射出出来た——
「バッバーキングアローッ!!!」
——当たらない!
一切当たらない!!!
幸子に守られてばかりで泣きそうになるけど足を止めるわけには行かない!絶対に!!!
アタシは歯を食い縛って小猿の猛攻を躱しながら登り続けた。
「絶対見つけよう、ミカ!!!」
幸子は最近寝てない。
それでも、そんな顔を見せずに小猿を薙ぎ倒していく。
泣いてる暇なんて無い!
「ミカ、どっち!?」
「たぶんこの方角!!!」
楽しかった遠足。その記憶を頼りに、アタシたちは登り続けた。




