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「さくら」
「ランドセル」
「ルビー」
「ビリジアン……あっ」
誰からともなくしりとりしながらお茶を飲む。のんびりな午後。
「ビリジアンって言いたくなっちゃったんだよね」
ショーコが何杯目かのお茶にふぅ、と息を吹きかける。
「わかる、言いたいよね」
アタシもカフェラテをふぅとする。
「そーお?☆☆☆ジャスミンイエローのほうが言いたいな」
「あー確かに、そろそろジャスミン茶飲みたいね」
「淹れよっか」
ジャスミンティを飲むと、心地よく眠くなる。
その色を見つめながら、音楽を聴きながら、ゆったり、ゆったり、飲み干していく。
そうすると、悲しみも、喜びも、ゆっくりとほどけていって、穏やかな気持ちで帰路に着くことが出来るのだ。
「なんかぁ……☆このまま泊まりたいな〜☆」
「いーけど、サッチー忙しくないん?」
この家はお冷やまで出て来る。
可愛いガーベラのグラスに、氷を二、三粒。
カラコロ音をさせるお冷やは、心をきゅっ、と引き締める。
「忙しーよぅ……」
だろーね、と思いながら、氷を口に含む。アタシたちも明日も学校だ。
「いつでも大丈夫だし、また暖かくなったらパジャマパーティーしようよ」
「パジャマパーティー!?」
幸子のツインテールが跳ねる。
「するする!絶対☆☆☆」




