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「ジュン、何、そのバンダナ……と、髪……」
「何を言ってるんだ、ほっしー。現代の立体メイクは女も男もないのか常。我がエアウィッグをトランスプランティションした所で、問題は無かろう」
「いや、その格好でワープインして来たけど……それで学校行ってるの……?ジャケットも一人だけ黒いロングコートだし……」
マッターホルンの山麓を、ハイドロレイダーが這い回る。
慎重を期して、我々はディストレスを捜索していた。
「いいじゃない、姉。ジュン君の銀髪、似合ってるよ!あと、ワープインじゃなくて、Warp-Ride in ね!」
「研修時や技能伝達時は、WRiするなどとも言いそうだな」
「いや、どうでもいいでしょ……」
「姉!こういうのが大事なんだからね!それよりジュン君、これ」
「なんだ?」
前方のコックピットからシュウジが趣味の良いスナイパーゴーグルを投げて寄越した。
「ほほぅ、中々良いではないか」
可視光線透過率100、ワイドフレーム球面レンズの最新式。
色は自由調整が出来るようだ。レインボーモードにする。
「純之助」
通信が入る。
ほっしーとシュウジの様子を見るに、我のみが受信しているらしい。
「純之助、ほっしーは射撃が下手だ。だが勘がいい。ほっしーの様子を注視し、目標射程捕捉後、シュウジと心を合わせろ」
「ジュン!あそこだ!!」
ほっしーが叫んだ先に、巨大馬の群れが見えた。
もう殲滅した筈のエーデルワイスの面影を探すみたいに、悲しげに、馬が山麓に群れている。
「「「薄明の光が、彗星となる」」」
「純之助、狙うんだ」
淡々とした雨沢の声——。
「「俺の力を光に変えて」」
「私の力を光に変えて」
「「「貫け」」」
「苦しくても」
分かってる……
「「「ディストレス!!!」」」
「独りでも」
そんなこと、分かってる……!!
「「「ハイドロバレット」」」
「きっといつか……」
悪夢は終わるのだろうか、……分からない……
「「「メテオ!!!」」」
でも…………!!!




