表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
白日のショコラ……——昇れ、きりなしの悪夢
154/747

150

「……記憶野原きおくのはら……」


 緋色ひいろのコートの男の声が一粒の星をまとう。


 それはわれの目の前に、ホタルみたいに飛んで来る。



「触れろよ。君の友だちの記憶に」


「嫌だ!」



 足がまた動かない!


「何で……何でこんなところに連れて来たんだ!」


 逃げられない!!


「おい!何とか言えよ!!!」


 揶揄からかうように、一粒の星が舞う。


「一人で来たくなかった……からだよ」


「何だよ……それ。……嫌だ……嫌だ!鷺沼さぎぬま!!来るな!!!……来るな!!!!」





「何でだよ?」




 だるような暑さの中、せみの声がうるさく響いていた。


 天頂から突き刺す太陽。


「ちょっと見してって言っただけダロ」


 鷺沼さぎぬまの持つ青いソーダアイスが熱さにダラダラと溶けかけていた。


「わ、やべっ!相良さがらのせいでアイス溶けて来たじゃん!」


われ……俺のせいじゃない!夏だからだ!」


「……ま、いいケド。なんだ、元気じゃん。いつもプール休んでるみたいだけどさ」


 その夏、父が死んだ。


 母はうずくまっていて、俺は別の人格をつくり出すことで、辛うじて夏休みを過ごしていた。


 鷺沼さぎぬまは誰もが話しやすいやつだ。われのプールのズル休みに気づいているとは思わなかった。


「なんかさ、相良さがら。服装変わった?なんか、禍々(まがまが)しいね!?」


 呆れたように、少し楽しそうに鷺沼さぎぬまが言い切ったことが何故か心地良かった。


われ……お、俺は魔王だから」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ