140
「純之助君!研修お疲れさま!!」
何かを企んでいそうな、黒い瞳。
……否、きっと裏表のない、健やかな瞳。我の大嫌いな瞳だ。
u-coとの夢のようなニ週間はあっという間に終わってしまって、我はハイドロレイダーの格納庫の一角の研修スペースを卒業して、搭乗者たちがトレーニングを行う、トレーニングルームでいけすかない子どもに見つめられていた。
星ヶ咲萩爾……学校に一人はいる、我の最も嫌いなタイプ。
我のサポート役、u-coと親しげなこともいけすかなかった。
我の研修は単純だった。
放課後、木曜、日曜日を除いて緋色の男が待ち伏せ、及び、拉致。
灰色の塔に連れていかれる。
そこからはひたすら階段登り。
やっとの思いで白い扉を開けると、蒼い格納庫でu-coが待っている。
レイダーは、全て揃ってる日も、何機かいない日もあった。
u-coの研修は知性に満ちていて、我はこの二週間で、レイダーの今分かっている機密の全てを吸収したと思う。
我がこの機密を利用したり、漏らしたりしたらどうするのか、と過ぎった瞬間に、
「HyLAを甘く見ないことだ」
と緋色の男が言った。
u-coは毎日、ホットココアも淹れてくれた。だが、会話は一度たりともしなかった。我は渡辺以外と会話はしないのだ。




