表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
狼狽のボヤッジ……——堕ちよ、緑の星
136/747

132

 青灰色あおはいいろの空が、新宿と似てる。


 煉瓦れんがで積まれた歴史の証跡は今もなお、時の道標みちしるべだ。


「ここから今日が始まるんだ……」


 弟は今を生きている。


 塔の最上部の報時球を見上げるシュウジの瞳は、いつだって光を宿している。


 それが少し眩しくなって、アタシも空を見上げた。


「古代には、何度も閉鎖されたのよ。でもロンドンの人たちは……いいえ、ユーラシアの人たち……それに8カ国全ての人たちも、そうね。沢山の叡智えいちを復活させてきた」


 アタシは熱海の温泉を思い出した。


 あの時も楽しかったな。


 うん。人は何度でも甦らせる。幸子さちこなら、だってそのほうがいいじゃん☆とか思ったしてるのかな。


「ここにはね、プラネタリウムもあるのよ」


「わ☆星って大好き☆☆☆ミカ、行こっ☆」


「……うん!」



 人はいくつもの歴史を作り、壊し、甦らせてきた。


 美しい星々。


 そのひとつひとつに、数え切れない歴史の積み重ねがある。


 この宇宙の星がひとつ消えても、もしかしたら、何も起こらないのかもしれない。


 だけど、星たちはこんなにも綺麗だ。


 ……涙があふれるほどに。


 アタシが心を向けてる世界は、果てのないやみの中で、きっと、綺麗だ。



「綺麗だったね」


 帰り道、針葉樹のざわめきの中で弟が言った。


「うん」


 星も、新宿に似た、この空も。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ