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「……ぁぁぁぁああああああああ!!!」
HyLA支部間のレイダーの移送は可能らしい。
けどそのあと、各支部から現地へは、最初の時と同様に各支部に造られたホログラム射出機からのスペースショット式の射出となる。
エリアロンドンから700kmの射出は久々に気持ちが悪かった。
(時間がある時は、HyLAの人たちがレイダーを円盤で吊って現地まで運んでくれているので射出移動は久々……ていうかまだ着かないのかい!)
「ミカ……見て!」
「……あああああ……っえ?……」
……えっ……?
いつの間にか街の姿が消え、緑に覆われた絶景が広がっていた。
「……凄っ」
天使でも住んでいそうな、緑に囲まれた丘や小川、灘らかな、緑一杯の谷。
どこか可愛らしい色とりどりのヒースの木々が童話の世界を思わせる。
「ホッシー、歌ヲ歌ウト紛レマスヨ」
「いやっ流石に無理!」
「実華!舌噛む」
「わっ!!!」
ズゥン……と着地した巨体たちは、この可愛らしい谷に不似合いな気がした。
「ミカ!あそこ!!!」
谷の奥のほう、黒い靄が沸いている。
「えーっと……何あれ……」
「皆んな、すまない!スターノエルは充電必須なんだ!靄は小さな生体AIdだが雲のようなものではなく攻撃が可能だが数が多い。スターノエル充電完了まで靄に気をつけながら、奥の蝋梅を討ってみてほしい」
ヒースに紛れて、黄色の小さな蝋梅の蕾が靄の後ろに見え隠れしている。
なるほど、あのサイズだったら、この島を諦めれば、或いは……
でも、仲間になったばかりのエリカさんとマーガレットさんの顔が浮かぶ。
分からない敵と対峙するのはいつも怖いけど、初めから諦めるなんて気分が悪い!
そんなアタシの気持ちを察してか、そうじゃないかは分からないけど、幸子が明るい声を出した。
「オッケィ☆」
コランダムレイダーの瞳が、桃色に光を放つ。
「時間を稼いで、後で凍らせるってことね!きゃっ」
靄の一部が、コランダムレイダーを襲う。
「嫌だっ何コレ!!!」
「幸子っ!!!」




