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「「「ピー、ピー、ピー、ピー……」」」
シュウジとアタシと、幸子のモバイルホログラムが同時に鳴った。
立ち上げると、グレートブリテン島の地図が展開し、ここ、エリアロンドンから、北へ700kmエリアパースのほど近い区域から、大量の黒い靄が溢れているのが確認された。
靄は、グレートブリテン島を南下し、ここ、ロンドンに向かっているように見えた。
——ハイドロレイダー、コランダムレイダー、出撃依頼。不可の場合、HyLA-Eighthを諦め、総員ブリュッセルに一次避難せよ!
「諦めっ……て、……え?」
Eighthのトレーニングルームに、緊急テロップが浮かぶ。
——スタッフ総員、HyLA-Firstの搭乗者を補助。ミッション続行中止アラートに備えよ!
「マックスさん!中止アラートが出たら、、どうなりますか!?」
アタシたちが依頼を受けなかったら……。
マックスは搾り出すように言った。
「避難……ト、聞キマシタ。グレートブリテン島ニイル、全員……」
それってつまり……
「この島を捨てるってこと?」
幸子がサブローに聞いた。
朱くなった部屋で、サブローの表情は見えない。
それでも、いい状況じゃないことはわかった。
「もともとEighthはスコットランドのYEA観測のために置かれたんだ」




