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名前、ツヴァイスタンって言うんだ……。
世界的な秘密に少しドキドキしながら、アタシたちはそれぞれの椅子をicomで出現させた。
アタシはエリカさんの椅子(北欧っぽい、カラフルだけどどことなく落ち着いた感じ)と似た感じのを出した。
(マーガレットさんは赤のゴージャスなのを出し、マックスは黒のスツール、幸子はベージュのふわふわのソファー、シュウジはいつもの小学校の椅子だ)
そして演台が出現し、サブローが現れた。
「えっ?」
「サブローさん!」
「サブロー氏⭐︎」
サブローは来れない筈……
「戦いが先刻、終わったんだ。ふぅ」
サブローも聴講用の椅子を出現させた。
そう、この座談会は、アタシとシュウジ(と急遽、幸子)が中心に進めていく手筈。
サブローが来て、恥ずかしいような、少し安心したような、アタシは由子さんと宗ちゃんに手伝ってもらって作った画像を展開させながら必死に、搭乗の失敗談・心がけたこと・新しい搭乗者へのメッセージを語った。
次はシュウジ……というところで、部屋の色が朱に変わる。
アタシはまだ高揚する気持ちを抑えて辺りを見回した。
「な、なにこれ、Eighthのトレーニングルームのエフェクト?」
……じゃない。皆んなの瞳が警戒の色に変わる中、サブローがため息混じりに言った。
「戦いが……先刻、終わったんだ。ふぅ……」




