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「C・マクスウェル」
気持ちの良い土曜日。
ロンドンの上を飛ぶ、HyLAの円盤の中で、幸子が呟いた。
「って、なんで幸子がここに……?」
Land ofユーラシアの搭乗者座談会に呼ばれたのは、シュウジとアタシだけだ。
幸子はミルクティ色のツインテールを靡かせて、お決まりのセリフを呟いた。
「いーじゃん☆休日に私だけひとりって寂しーじゃん☆」
シュウジとアタシは休日じゃないんだけどね!座談会は重要な仕事だ。
ま、正直幸子が来てくれて助かったけど。二人だけだと不安だしさ。
「ねぇ、ロンドンの風景って綺麗だね。歴史が重ねられてるっていうかさ。来てよかったな〜☆」
Land ofユーラシアの支部、HyLA-Eighthはロンドンタワーブリッジ、テムズ川の地下に造られた。
(イギリスは古代で言うところのヨーロッパと関係が深かったらしく、島国だけど、Land ofユーラシアの一部だ)
もちろん、HyLAのワープ設備ですぐに飛ぶことが出来るけど、周辺地理の把握のために、土曜日の朝から、アタシたちはHyLAの円盤でロンドン見学をしていた。
タワーブリッジにビック・ベン、美しい聖堂や街並み。緑一杯の公園など、壮観な景色が溢れている。
そこに生まれた、C・マクスウェルという14歳。
アタシですらその名前を知っていた。




