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「ミカ!危ない!!!」
コランダムレイダーが、モニターに飛び込んで来た。
一瞬の……真っ赤な抱擁……
「嘘……」
左手が動かない。
振動と共に、モニターに切断されたハイドロレイダーの左腕が映る。
「姉!」
何が起こっているのか分からなかった。
「対象はどこ!?」
モニターにはコランダムレイダー、蝋梅の黄色い蕾そして……
「ホッシー!シュウジ!後ロニ飛ンデクダサイ!!」
漆黒のハイドロレイダーと……
「黒い……靄……?」
ハイドロレイダーを覆っていた黒い何かが、漆黒のレイダーに集まっていく。
「……闇ハドコマデモ続ク」
「オレノ強サガ敵ヲ討ツ」
「鳴リ響ケ!」
HyLAの円盤が、深い闇を照らす。
「ディストレス!!!」
モニターに映る黒い靄が拡大される。
「鼠だ……夥しいほどの!」
どこから集まってきたのか、スコットランドのエリアグレンシー、ヒースに覆われた渓谷をさらに覆い尽くすように、小さな鼠の狂気がアタシたちの強化シリコンを狙っていた。
「ファーレン!!!」
「レーゲンシュテルン!!!!!!!!」
闇の中に、一筋の光……
宝石みたいな、緑の流星。
……雨。
全てを撃ち抜く、幾億の輝き。
消えていく小さな悪意たち
流星は反響し、ドラムのように大地を打ち鳴らす。
「バーキングアロー!」
シュウジは躯体に付いた鼠を払って、水素針を構えた。
エメラルドと、白炎の、雨。
「ホッシー!シュウジ!ダイジョブデスカ?」
「大丈夫です!マックスさん!」
黒い悪意は、光の中に消えて行った。




