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「!!!!!!……ぁぁあああああああ!!!!!!!!」
ジェットコースターみたいな重力の波に、アタシは絶叫していた。
「ミカ君!君たちの細胞外液が鍵になってる!カプセルに深く座って操縦管を放さないで!細胞外液って言うのはつまり汗とか涙とか……」
「体液のこと!?キモー------!!!!」
「細胞外液だ!しっかり握って!!!着地するよ!」
「分かりました!実華!着地する!!」
シュウジの声にはっとしてモニターを見た。
「っ痛……!!!」
着地のドシンとした振動が全身に伝わった。
モニターには怒り狂う大猿の姿があった。
楓は無事みたいだ。
「……薄明の光が白炎となる」
「……え?」
斜め前のカプセルで、シュウジが何か唱えている。
「えっ!?」
何かの装置が爆発音を出し始めた。
コックピットに警告音が鳴り、機体が震えている。
「俺の力を光に変えて」
「は!?俺!?」
「降り注げ!」
「ディストレス!!」
「バーキング!!!!」
「アロー!!!!!!!!!!」
雲の裂け目から、
光の炎が鋭い矢となって大猿の肩からわき腹を貫いた!
「楓!!!」
地面を蹴って、レシーブするみたいにアタシは楓の体をロボット——ハイドロレイダーの手のひらで受け止めた。
「バーキング・アロー!!!!!!!」
反対の手で水素針をかざして、弟の攻撃が大猿を地面に縫い留めて行く。
美しい矢が降り注いでいた。
優しく、天高く流れる光の雨、滝。
終わらない流れ星。
美しく暖かい白い炎。
絶え間なく激しく降り続く光。
「綺麗……」
大猿の姿をしたAIdは、美しい薄明光線の中に溶けた。




