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……夜のうちに、サブローは助け出された。
宗ちゃんや玲鷗、HyLAの技術者たちに依って。
眠っていたアタシは、何も出来なかった。
ディストレスを守るように現れた雲も、昨夜のうちに消されたそうだ。人の力に依って。
「レイダーの強化シリコンは、同じ強化シリコンで特殊加工されたジグソーで開けていくことが出来るんだ」
トレーニングルームの画面が強化シリコンの摩擦を映し、バチバチと光る。
宗ちゃんがレーザーポインターで示す画面に、沢山のHyLAのスタッフがスターノエルレイダーを人力で開いていく様子が映った。
胸の核の部分が、碧く光っている。
「後は亜空間シェルターの救助とやり方は同じだ。サブスペースデバイスバトンを使って、チャネルを合わせる」
HyLAのメカニックの人が、亜空間救助の方法で、サブローの乗ったカプセルを亜空間から取り出した。
「サブロー!」
「サブローさん!」
「サブロー氏!!!」
サブローは息をしてるみたいだったけど、動けないようだった。
「大丈夫。サブローさんは今はICUで治療を受けている。問題はサブローさんの症状だ。……重度の麻痺を負っている」
宗ちゃんはトレーニングルームの画像を切り替えた。
「雲は雲そのもの。アトミックサーキュレーターで蒸発させることが出来た。雲の攻撃対象はひとつ。水素高炉の熱源。つまり、|レイダーのコックピット《ぼくたち》だ」




