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宗ちゃんはきっと帰っても寝ないと思う。
シュウジには、自分も休むから寝よう。そう言って。
だからと言って、アタシたちが寝ないでもいい理由にはならない。
出来ることが見つかるまで、眠ったほうがいい。
宗ちゃんに、おにぎりだけ握って、白菜の浅漬けもタッパーに入れて、シュウジがお風呂に入ってる隙に、アタシは木造風アパートの下の階の、宗ちゃんの部屋のドアを開けた。
豆電球の灯りの下で展開したいくつもの、ピカピカとした光を放つモニターを睨んで、宗ちゃんは何かを打ち込んでいた。
「バレたか」
「バレるよ」
アタシはおにぎりと白菜をお盆の上に置いた。
「あの雲にレイダーで近づくとさ、核がバレちゃうみたいなんだよね」
宗ちゃんは様々な機関のデータベースを参照して、スターノエルレイダーに起こった現象について、解析しているみたいだった。
アタシは麦茶を注いで、宗ちゃんの隣に座った。
「サブローはもう死んでるってこと?」
「エッ!?ごほっごほっ」
麦茶を噴き出した宗ちゃんにティッシュを渡した。
「核って、コックピットのコトでしょ?」
ロボットの核。すなわち、コントロールエリア、コックピットのことだ。宗ちゃんとシュウジから布教された古代のアニメの知識でアタシはそう思った。




