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「アクアフルール!」
幸子が放つアクアフルールは、深いサファイアのような輝きで薔薇を閉じ込めた氷を削った。
「やった☆キレイ☆☆☆」
「ア、……アロー!!!あ……ご、ごめっ」
「大丈夫だよ、みっちゃん。落ち着いて合わせていこう。シュウジ」
「うん!」
「「「バーキングアロー」」」
神速の矢が、果てなく広がる氷をキラキラと削っていく。
幾千の薔薇の蕾と共に。
「……姉、来てくれてありがとう」
「……は?……別にアタシは」
「皆でやれば早いからなぁ!」
がっはっはと笑いながら、玲鷗の疾風が氷を削って、キラキラと光が円盤の高さまで巻き上がった。
ここに居ることが正解なのか、アタシが居なくてもよかったのか。
考えが過る。
言われるままにここに居るようで、方法を選ぶ仲間がやっぱり違って見える。
強い気持ちと、弱いアタシ。
それは自分でもわからないうちに、交互に押し寄せてくる。
「皆んなーッファイトッファイトッ!」
サブローのスターノエルレイダーは、ディストレスを凍らせる出力特化型のレイダーのようで、……声援に、ちょっと癒される。
やらなきゃ……できることを。そう言い聞かせて、遠くを見つめると、嫌な予感がした。
「サブロー……」
なぜか、アタシはサブローの名前を呼んだ。
「サブロー!避けてッ!!!」
——閃光。
そして蒼いレイダーの瞳の光が消えた。




