プロローグ 無双勇者、イキって死亡
俺はラシュト、ここに来るまではただのオタクだった。そんな俺は今…魔王の目の前にいる。
「やっと会えたな魔王…!この世界の皆の為にも貴様を…!倒す…!」
そんな小っ恥ずかしいセリフを言ったのは俺である。なんせ今の俺は勇者!そしてここはいわゆる異世界!どれだけ恥ずかしいセリフも映えるのよ!そんなカッコイイ俺の後ろには女僧侶のヒス、男タンクのゴルファ、女魔法使いのセフリックス。勇者にはお決まりのパーティがいる。皆レベルはカンスト(勿論俺も)そんなパーティ。RPGなら余裕で魔王をボコボコにできるLvである、だから余裕だろうと思っていると魔王が重々しい口を開く
「ほう…貴様らのような真の勇者パーティだとは思えぬ様な者達に倒されるだと…フハハ…有り得ぬな…」
とムカつく髭をたなびかせ、笑いながら言っている。見ていろ魔王…カッコイイ俺達が貴様のムカつく髭面をぶっ潰している。そう心の中で思い勇者の剣をシュバッとカッコよく抜き構える。そして俺ら勇者パーティとムカつく魔王の戦いが始まった。
そして1時間後、そこには血だらけで倒れる魔王と…それより酷い傷をおって死にかけの俺がいた。他のメンバーは傷はあるものの軽傷だった。魔王が思ったより強かったのである……えぇ…俺…あんなイキってたのに俺だけ死にかけかよ…こんな状態じゃ僧侶の蘇生を受けられない。この世界ともおさらばだ…そう考えると涙が出てきた。一応パーティの思い出も色々あった。皆で盃を交わしたり…他にも色々。死にかけのせいか音も聞こえない。涙のせいで何も見えない。だが暖かさで仲間がいる事が分かった。「あぁ…皆やっぱり俺の事思ってくれてたんだ…」と嬉しく思いもっと涙が溢れた。するとザクッと謎の音が聞こえ意思が途切れる。
あぁ…次も転生出来たらまた勇者になって無双してぇ…そう考えながら意識が飛んだ
何時間、いや何日経ったのか分からないが目を覚ます。やっぱり異世界転生出来た!そう思ったつかの間。目の前に居たのは倒したはずの魔王軍の幹部の魔女。嫌な予感がした…そして自分の手を見てみる「腕の肉が…ねぇ…!?!?!?」