表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/48

第三十話 狐を追いつめるには(2)



 わたしたちは少し早めに、会場をあとにした。


 伯父様やカーテは残っていたが、わたしが先に行ってしまうことを誰も特に気にしていなかった。


 いづらいから、と思われているのだろう。


 実際は、違うのだけれども。


 単にわたしは、今日あったことを受けて早くみんなで話し合いたかっただけ。


 王城では、廊下でも話し込んでいると目立ってしまう。


 特にクリストフが化けた王太子に怪しまれないようにと、早く退散することにしたのだ。


 


 わたしは屋敷に帰ってすぐ、メイドにお茶の用意を頼み、みんなにわたしの部屋に来るようにと促した。


 メイドがテーブルにお茶を並べ終わって退室してすぐ、わたしは口を開いた。


「……で。どうすればいいと思う? ジーグルトは、狼族がヒルダを捜していると言ったけれど……。捜索は狼族に任せておけば、安心よね」


「捜索なら猫族も強力したほうが、いいと思うけど。本物のヒルダならともかく、偽者の……カタリナだっけ。彼女なら、体の一部が残されていたら追えるよ」


 ぽんっ、とコルネールが猫から少年の姿に変身する。


 椅子が足りないので彼はベッドに座り、会話に参加した。


「あの魔法ね。カタリナは用心深くて、体の一部――髪の毛なんかは残していなかったのよ」


 わたしもそう思ってカタリナの使っていたブラシを捜したのだが、ブラシは持ち出されていた。


「元のヒルダのものなんて、当然残っていないしね」


「そっかあ。なら、狼族の鼻に頼るしかないな。見つかるかなあ?」


 コルネールも、懐疑的なようだった。


「捜索の話は置いておきましょう。わたしが尋ねたいのは、もし王太子が死んでいたらということよ。ギーゼラの証言以外で、証明できないわ」


 わたしの話に、ユリアヌスが難しい顔をして腕を組んでいた。


「その場合は、外堀を埋めるしかないですね」


「外堀って?」


「国王陛下や、第二王子や第三王子に話を持ちかけるんですよ。婚約者でもいいですね」


「婚約者のクラリスは、既に違和感を持っていたわ。働きかけるなら、彼女かしらね。あの子も、どこの誰かわからないひとと結婚なんてしたくないでしょう。第二王子はよくわからないけど、協力してくれるなら彼かしら。王太子が偽者なら、次の国王は彼よ。彼が一番、得をする。第三王子のオトフリート様は――わたしとは気まずい仲だから、協力をあおぎにくいわね」


 わたしが説明すると、皆は神妙な面持ちで聞き入っていた。


「そもそも、わたしが王太子を疑う動きを見せたら、クリストフも動いてしまうかもしれないわ。逃げる前に、捕らえたいわね」


「今は、特に警戒していないようだったな。ギーゼラの存在を、まだ知らないのだろう。とすると、元ヒルダのカタリナはまだ連絡していない?」


「そうだと思うわ。知っていたら、夜会に顔なんて出さないわよ。理由なんて、いくらでもつけられる」


 ジーグルトの推理に、わたしはうなずく。


「それでエヴェリーン様? 俺たちはどう動けばいいんです?」


 ユリアヌスに問われて、わたしは考え込む。


「ギーゼラ。自分で変身を解かないと、変身は解けないのよね?」


「うん、そうだよ」


「なら、これしかないわ。王太子を誘拐するのよ」


 わたしの意見に、一同は呆気にとられたのか、しばらく誰も何も言わなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ