リーナ
「お嬢様!あの王太子 ちょっと殺って来ていいですか?」
「むりむりむりむりむり……!!」
…笑顔で何ということを言うんだ!リーナよ。
「私は、その時は悲しくも思ったけれど、過去を振り返れば 自分も悪かったから… 」
「ま、それはそうですよね。
アルフォンス様が来るのに、
突如思いついたとか何とかで 木を伝って出掛けてしまうし
仮病で寝込んでいるはずなのに、アルフォンス様と街で出会うし
別の日には、怪しいお店で遭遇したことも…
ま、 何よりも 考え出すと 周りの声が聞こえなくなる その特性ですよね!
私も 何度そのせいで 大変な目にあったことか…」
リーナから言われた小言が 全て思い当たりすぎて
私の胸に ブスブス突き刺さりまくる。
侍女って いや、リーナって 容赦な…い…。
パタリ……
テーブルへ伏した私の様子を見て
リーナが口を閉じる。
気を取り直して
「そうなのよね。
だからこそ、仕方がないのよ。
夜会で宣言されたものだから…」
「夜会でーーー!!?
あんの クソ王子、脳みそついてるのか!?
あんな場で言われたなんてことは、
もう 貴族超えて その辺にコロコロしてる赤ん坊まで広がっているわよ!!
やっぱり 殺って来ていいですか。」
「だ…だめだめだめだめだめ!!」
「ちっ!」
し…舌打ちしたよね。リーナ。
「あ…あのね。その後で、素敵な出会いがあったのよ。」
「今の会話の中のどこに そんな要素が含まれるんですか!?
全くもって 分からない。」
確かに、婚約破棄を公衆の面前でされて 幸せ要素ゼロよね。
そんなことも忘れていたくらいなので
ルイ様に感謝しなくっちゃ!!
「うふっ。白馬の王子さまが表れたのよ。」
「お嬢様。熱でもありますか? 妄想が現実に見えてしまったようですね。」
ひ…酷い。
確かに、今までの私って、思いついたことの他に、前世でのこともペラペラ語っていたから ちょいちょい 頭のおかしな子だと思われていた節もあるけれど リーナ…。
バーン!
「リーナ!お嬢様になんてことを!
この執事ショーンも 見ましたぞ!
白馬の王子!しかりと!!」
この家の従者は ドアをノックすることを知らないのでは?と、思われるではないか
どうして、みんなこんな事になっているのよ!