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指輪




そう思っていると、 ふと 手を握られた。


「えっ?」


手元を見ると、


「今日のダンスのお礼に…。」




ルイ様が、自分の指にはめてあった指輪を、私の指にはめていく。


見るからに、高級そうで 大きなサファイアが上品に付いている。


台座は、ごつすぎることなく 女性がはめても さほどおかしいことはなさそうなタイプだ。

しかも、サイズ自動補正の魔法が かかっているのか、指のサイズに徐々に 馴染むべく 縮み出す。




そう… 

この世界には 魔法という便利なものがあるのだ!

魔法という言葉に心踊り 私にもうまく扱えないかと 試行錯誤して… 

し続けて 現在に至っている。


そう… 魔法というのは 一朝一夕にはならないのですよ。


軽く 火力玉で火起こし しようとすれば

何故か 巨大な火力玉が出現して 辺りを容赦なく 真っ黒のすすだらけにしてしまったり、


軽く 風魔法で 洗濯物を乾かす手伝いをしようとすれば

洗濯物は 竿ごと はるか彼方へ飛び立ち 消えていき、


軽く 土魔法で 穴を掘ろうとすれば 地の底へ繋がっているのでは? 

と、思われるような

底の見えない 暗く深い大きな穴ができるのよ!


そんなに力を籠めて リキんでる 訳ではないのにね

ほんと 不思議で仕方がないわ。



…ついつい

魔法補正がすごすぎて じっくり見てしまったわ。



「そんな…。いただくわけには…。

ダンスは私も楽しかったのですから…。 私こそ、何かお礼をさせていただきたい位です。」


「いや。指輪はきっと、君を守ってくれるだろう。」



指輪が守る?


どうやって?


それに、なぜかしら?


私 誰かに狙われているのかしら?




 ??? が いっぱい頭に浮かぶ。




そんな様子に気づいてルイ様が、


「これは 我が国の妖精の力を借りて、指輪に守りの力を籠めてある。何も無ければよいが、今宵の騒動で あらぬ所から動きがあってはいけないからな。」




妖精の魔力の籠もった指輪が…。




なんて素敵なの!


私のいるアルバート王国では、妖精は滅多に姿を見せない。


だが、お隣の メルべルート王国では、妖精パラダイスだということは、周知の事実。


こんな 異世界転生したのだから、出来る事なら 私も、妖精と戯れたいと思い詰めた日は 多々あった。




そんな夢にまで描いていた 妖精が、

妖精様が、魔力を籠めて下さった指輪が この私の指に…ある。



魔法に続けて 妖精迄とは!

そう考えつつ、思い出す。


はぐれて 我が国へやってくる 妖精はいないかと

無駄に野山を駆けずり回り、 

葉っぱや枝が、髪の毛に刺さりまくり、 

しかも 坂道で転げ回り泥だらけになった事は

くれぐれも、内緒にしておきたい…。



…つ、つい またも指輪を眺めつつ 過去の回想をしてしまった。


ビバ!妖精!

一人で 踊りだしそうなくらい 

テンションがおかしくなってる 気がする。



どうしよう。

嬉しい。 嬉しすぎて、返そうと思うのに 返せれない。

いいの?

ほんとに 私がいただいてもいいの?

いえ。 だめよ。

妖精の 魔力を籠めたものは 存外なく 高価なものよ!

私のお小遣い程度じゃ買えないわ!

か…返すのよ! エリーゼ!

貴方は そんなに 心が弱くないはずよ…


ちらり ちらりと ルイ様を盗み見しつつも

ものすごい葛藤をしていると


指輪の着けられた手を そっとルイ様に包まれた。


はっ! として 目を向けると

微笑んでいるルイ様!?

イケメンのキラキラ笑顔 


 イケメン キターーーーーー!!


目が、チカチカする。

もう…私 倒れるんじゃ、

た、倒れてもいいよね!


ぐらんぐらん していると、背中を支えられた。

…で、ですよね。

そう簡単に ぐらんぐらん している場合じゃないわよね。


「指輪も 貴女が気に入ったようだ。」


 ………?


どのように それを感じるの?

目に見えて、普通の指輪に見えるが?


 ??? に、またもなっていると…


「ほら、ここに。」


ルイ様の視線を追うと、

目の前を 光がスッと通った。


何かしら?

虫にしては、綺麗ね。

夜光虫?


「……な」


んっ?


「虫とは失礼な!」


目の前に表れたのは 小さく光る羽根の生えた 男の子!?


「…えっ!?」


しげしげと眺めてしまった。


それがいけなかったのか、

髪の毛一房 ピンっと引っ張られ

「いたっっ!」


「やめてくれないかい? ジーク·エンド」


「だって、おいらのことを 虫って思っていたんだぜ。」


思ったわ。 

確かに、虫? って思ったわ。

…思っただけと思っていたけど、口に出ていたかしら?

もう、淑女としては失格ね!


「口には出していなかったよ。」


あら、口に出していなかったのね。

良かったわ…?


あら?

じゃあ、何で伝わるのかしら?


「そいつは、おいらにも分からないけど、大体の人間の思っていることなんて、勝手に聞こえてくるんだよ。 だから、悪いやつに捕まらないように 逃げることは出来るんだ。」


えっ!?

心の声 だだ漏れ!?


過去の私 静かに探したかしら?


声が漏れまくっていたわね。…きっと











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