2021-04-23 標準模型にない他の素粒子の効果も
超対称性粒子とμ粒子の異常磁気モーメントの実測値からのズレというのがじゃあどういうわけで関係しているのかという話にようやくなる。
前に書いたように、異常磁気モーメントの大部分、もともとの磁気モーメントの理論値の2からのズレのほとんどは仮想粒子の影響によるものであるという話だった。
電子の場合は仮想光子の影響ぐらいしかなくてその影響の具合を計算で求めてみると、かなりの精度で実測値と一致していたという話だった。
ところがμ粒子の場合は質量が電子の200倍もあるから、仮想光子だけでなくて仮想ハドロンとかの影響も無視できなくなって、それで大変面倒な計算をしているわけだが、それでもその仮想ハドロンの効果を考えてもまだ異常磁気モーメントの実測値とはわずかなズレがあるとかそういうことだった。
そこで、今までは標準模型にある実際に存在する素粒子について、その仮想粒子を並べ上げ、それら一つ一つについて磁気モーメントへの影響を計算して足し上げたわけだが、それで足りないのなら、標準模型にない他の素粒子の効果も足してやらないといけないってことなんじゃないか、という話になっているのである。
標準模型にない素粒子といえばこちらもまだ未発見の重力子というものがあるわけだが、それよりもまずは標準模型のそれぞれのボゾンやフェルミオンと対になるまだ見ぬ超対称性粒子、フォティーノやらスクォークやらの仮想粒子の影響を俺たち人類は観測しちまったんじゃないかとか、そういう話が出てきたわけである。
前に書いたが、超対称性粒子たちはまだ一つも見つかっていないわけだが、仮想の粒子とはいえその影響の痕跡があるのであれば、標準模型をさらに拡張する考え方として超対称性というものが俄然信憑性を帯びてくるとかそんなことになるわけである。
物理の人たちは対称性が好きなわけで、その彼らの前に対称性の凄い奴である超対称性が、夢物語でなく現実の世界の法則として見えてこようとしているわけであるから、だから世界中の科学の人々が目をキラキラさせて調べまくっているとそんなことになるという次第である。