2021-04-16 μ粒子はグラマラスで背の高い妹キャラ
さて仮想粒子が生まれたり消えたりして、それが電子が飛んでいる軌道に影響すると磁気モーメントがちょっと大きくなるということは分かったとして、じゃあなんで電子の異常磁気モーメントは標準模型のその理屈で計算できて実測値とも一致しているのに、μ粒子はさらにそれがズレているのか、という話が残るわけである。
それはどうやら、電子とμ粒子の質量の差が関係しているらしい。
電子とμ粒子、同じ電荷を持った兄弟みたいな素粒子なわけだが、質量は200倍違っていたりとかなりかけ離れた感じになっている。
電子がちっちゃな細身の、でもお姉さんキャラだとすると、μ粒子はグラマラスで背の高い妹キャラとかそんな感じになるだろう。
そういうイメージを持って仮想粒子がこの姉妹にまとわりつく様を想像すると、ちっちゃい細身のお姉ちゃんは身が軽いので仮想粒子の影響をあまり受けないんだけど、グラマラスボディばいんばいんな妹ちゃんは仮想粒子にまみれてたいへんなことになってしまうとかそんな感じである。
そう考えると仮想粒子って、スライムみたいなベトベトしたねっとり系のモンスターか何かに思えてくるから不思議である。
ちなみに昨日書いたが、仮想粒子の生成消滅と、電子とかの軌道が変わるありさまのバリエーションは、5ループまでを含めると12,672通りあるとかそんな話らしい。
その全ての影響を算出し、それらが等しく影響するとして足し上げると、あの電子の異常磁気モーメントの値になるというのだ。
実験も大変そうだけど、計算の方もたいがい大変そうである。
さて、電子の場合がそれくらいだとして、じゃあμ粒子の場合はバリエーションがどうなるかというと、なんともっと増えるらしい。
電子は軽いので影響するのは仮想光子くらいのものだということらしいのだが、μ粒子はグラマラスボディばいんばいんなので仮想光子だけでなく仮想のハドロン、ようするに仮想クォークがいくつか組み合わさった仮想粒子のパターンが無視できないから、ということらしい。
ということで、そんな仮想ハドロンの影響も含めた計算を世界中の科学の人が頑張って頑張って計算したにもかかわらず、実験での測定値とはズレがでているとか、μ粒子の異常磁気モーメントはなんとも趣き深い現象だったりするらしいのだ。