2021-07-08 経路がゲージ変換しても変わらないという条件
さて、そんな経路に沿って積分するとして、足し上げていくとして、実際の実験で観測できる量というのは、どんな経路で積分すればいいのか、足し上げればいいのか、そういう話になるだろう。
単にA地点からB地点の間の考え得る経路全てを積分して、その全ての影響を考慮すると言っても、じゃあそのA地点とかB地点とかいうのは何を指定するんじゃい、とかそんな話が残るわけである。
ところで素粒子論の話をしていた時に、たしかゲ ージ不変とかいう話をしたような気がするが、気がするだけでそんな話はしてなかったかもしれないが、何かの実際の観測できる物理量というものは、ゲージ変換に対して不変でないといけないらしい。
ゲージ変換が不変……何を言っているか私自身まったくわかっていないのだが、ともあれわれわれ人類が「これ何かここにあるんじゃよー!」ということを観測するための条件は、その観測できる対象がゲージ変換に対して不変じゃないといけ ないらしいのだ。
ということで、格子QCDシミュレーションでもその話は必要だとして、なんとかしてこの格子の経路に沿った積分の結果が、ゲージ変換に対して不変な感じになっていないといけないというわけだ。
つまり、A地点とかB地点とかを決める時やその間の経路、すなわち積分するときに辿る道筋を決める時に、それぞれの経路がゲージ変換しても変わらないという条件が必要になってくる。
さて、ゲージ変換に対して不変にすると言ってもたぶん色々あるんだろうなぁと想像を巡らせてみるのもまた一興ではあるが、しかしまあ時間短縮のためにここは孤軍奮闘の思いでそのうちの定番的な手法を紹介するとしよう。
なんと、A地点とB地点とが同じサイトになる場合、要するに格子をたどってぐるりと元の出発点に戻ってくる経路はゲージ変換に対して不変になるらしい。
厳密なことを書くとゲージ変換に対して不変、というわけではなくて、ゲージ変換に対して共変であるとかそんな感じになるのかもしれないが、いずれにしても「何か実験的に観測できる物理量を算出しようとするならば、格子上をぐるりと一周してくるような経路を考えればいい」ということのようなのだ。