2021-07-06 経路パターン全てについて
さてこうして準備ができたとして、実際に計算するといっても何を計算するのだろうか、という話があるだろう。
場の量子論では、フェルミオンとかボゾンだとかの関数を元に何かを計算するときに、経路積分という手法を使うらしい。出たぞ積分。
経路積分というのは、例えばA地点とB地点の2つの場所があったとして、A地点からB地点に向かうその道筋、経路に沿って関数の値を順に求め、それらの結果を足し合わせるということを指しているようだ。
ただ一口に「A地点とB地点との間の道筋」といっても私たちが暮らす三次元世界では色々で、まっすぐA地点とB地点を結ぶ一直線なやつがまず思い浮かぶこととは思うが、実際にはそれだけではなく、A地点とB地点の真ん中から少しだけ横にズレたC地点というのがあったとして、A→Bの道筋とA→C→Bの道筋の二つが考えられるわけである。
経路積分はこの2つの経路のどちらもとりあえずその道筋に沿って積分した後、2つの積分結果を足し合わせて平均をとったものを「最終的な結果」とするらしい。
これは中間地点が増えても考え方としては同じで、D地点が増えたらA→D→BやA→C→D→Bといった経路が増えるので、その各経路それぞれについて積分したあと、その平均を取ってみたりということのようだ。
で、格子QCDシミュレーションの場合、この積分というものが単なる足し算になってしまうので、初期パラメータを決めてそれぞれの格子のサイトとリンクに初期値を配置したあとは、A地点とB地点の間に考えられる経路パターン全てについて、配置されているフェルミオンやボゾンの値を足し上げていくことになるようだ。
それぞれの経路の、結果への寄与度については均等、どの経路も同じくらい結果に影響すると仮定したりもするらしい。
ちなみに格子QCDだと、経路はサイトからサイトにリンクを辿っていく感じのカクカクしたものになるが、それはそれで問題ないらしい。
最終的には格子の間隔を0に近づけていく極限を考えて、連続な空間での結果に変換することになるんだと思うが、その過程で経路のカクカクは角が取れてまろやかになるとかそんな感じである。