2021-07-01 計算しやすいように空間を区切って
コンピュータで何かを計算しようとした時に、連続で滑らかな対象をそのまま扱うことはできないので、連続で滑らかなものをいったん細かなつぶつぶに切り分けて、そのつぶつぶ一つ一つについて計算した後、それぞれの結果を総合して全体がどうなっているかを考えるということになるわけだ。
さて、なので格子QCDシミュレーションといった場合には、そのつぶつぶへの区割りの手法として格子という考え方を採用しているということになるだろう。
格子……格子といえばアレである。
木の角材とかを直角に組み合わせたりして作る、欄間とかでよく見かけるあの四角い奴である。
格子QCDシミュレーションの場合、それはもう文字面そのままに、空間を格子状に区切ってしまうらしい。
格子といっても普通に考えると、木組みの交点にあたる部分と、交点と交点の間の梁の部分というか、その2種類があるということはすぐに思いつく。
あ。いやいや、交点と梁に囲まれたサイコロっぽい立方体部分もあるね。
ただいったん、そこは何もない空っぽだということにしておくらしい。
なので、格子QCDシミュレーションでは、格子の交点にあたるところを「サイト」、格子と格子の梁の部分を「リンク」と呼ぶらしい。
そんでもって、サイトのところにはスカラー場を配置して、リンクのところにはベクトル場を配置して、シミュレーションするとかで。
なんだろうここまで書いているとループ量子重力の話ととても似ている気がしてくるが、あっちは時空の量子化のためにノードとリンクというものから、ループとかスピンを生み出し、そこから時空を創発するというアプローチだったわけだが、格子QCDシミュレーションはあくまでも計算のテクニックとして計算しやすいように空間を区切っているだけなのである。
この二つが素人目にそっくりなのは、たまたまの偶然なのか、それとも何か世界の深淵にある理屈が自ずとそういった類似性を人類に強いているのか、そういう妄想が始まりかねない危険な代物だという気もしてこなくはないが、そこは華麗にスルーしつつ格子QCDシミュレーションについて調べていくのである。オトナだからね。