2021-05-28 無限大をマイナス無限大で打ち消して
繰り込みという方法を使うと素粒子同士の距離が近くなっても、計算結果が無限大に発散しないという話だが、何をやっているかというとなかなかこれがダイナミックなことになっていて、曰くは無限大になる項目と、符号が反対なだけで全く同じ量の項目で打ち消してなかったことにする、ということらしい。
何を言っているか分かりにくいとは思うが、要するに無限大をマイナス無限大で打ち消して見なかったことにする、という感じである。
そんなことをして元々の式とかは壊れないのかという話が出てきそうだが、マイナス無限大になる項目を作り出す時に、その残りかすの部分を質量とか電荷とかの値に混ぜ込んでしまえというなかなかこれも思い切ったことをしていたりする。
すっごく簡単に数式っぽく書いてみると「mX+cY」の「cY」の部分が、超近距離だと無限大になっちゃうとして、それを相殺するためにこの式に「-cY」となる項目を付け加えるのである。
この時、強引に「-cY」を作るので、「X」のところに付いている「m(これを質量だと思ってくれれば良い感じ)」の内容が変わってしまうのだが、その変わってしまった「m」を改めて「m'」としてしまうのである。
すると「mX+cY」⇒「m'X+cY-cY」となって、「cY-cY」は差し引きゼロとなり、めでたくこの式は「m'X」だけになる……ほら! 無限大は消えました! という話らしい。
さてこのじゃあ元々の「m」と、書き換えちゃった「m'」とはいったいどういうことやねんと気になると思うが、元々の「m」のことを「裸の質量」、繰り込みで補正した「m'」のことを「観測できる質量」と呼んだりしているようで、曰くは繰り込みで補正した方が現実世界で観測できる質量で、補正する前の理論的な質量は観測できないもの、という説明があったりもするらしい。
もうちょっと理屈をつけるなら、素粒子の裸の状態というのはかなり質量の小さな感じなのだけど、素粒子同士の電荷とかの相互作用の影響で見かけの、観測できる質量が水増しされるのであるとか、そんな感じのようである。
ちなみに繰り込みで求められた補正後の質量と、実際に実験で測定された質量とはかなりの精度で一致しているらしく、繰り込みスゲー! という感じらしいのだが、しかしその繰り込みの無理やり感が気に入らない人も多いとか多くないとかそんな感じではあるらしい。