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月夜譚 【No.1~No.100】

門前 【月夜譚No.37】

作者: 夏月七葉

 ここを任されたからには、鼠一匹通させはしない。門の前に立った少年は背筋を伸ばし、身の丈の二倍はあろうかという槍の尻を地面に打ちつけた。同時に、門の両端の篝火がゆらりと揺らめく。

 国の中央に聳える王城。ぐるりと周囲を石塀で囲み、下界と繋ぐのはたった三つの門のみだ。その内の一つ――北に位置するこの門は、唯一橋に面していた。固く閉じられた門の正面から、石造りの頑強な橋が向こう岸まで伸びている。橋の下を覗き込めば、轟々と川が流れている。

 昼間は橋の前を通行人が行き来するが、今は水音と炎の爆ぜる音以外に聞こえるものはない。静かな夜だ。不意に頬を掠めていった冷たいに風に、少年は身震いをした。

 夜は始まったばかり。日の出の時間までここを守り通さねばならない。少年は片手で襟元を合わせて、そっと白い息を吐き出した。


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― 新着の感想 ―
[一言]  新任さんならではの緊張感!これは良いですね!  城郭建築の常識で考えると、この城は北側からの攻撃を想定して築かれた城で……。つまり、北側は正門な訳で……。なるほど、大役ですね!
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