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lie&taker~走馬灯~  作者: 川崎あお
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-弱い草食動物-

俺は昔から狂っていた。

嘘をつき、自分を守り、自分の利益を得る。


生まれながらの詐欺師と言っても良いかもしれない。


家族、友人、恋人、妻、子供。

全てを裏切って俺は……。






ああ、昔のことを思い出す……。

イジメにあったこと。

人を傷つけたこと。

あいつと出会ったこと。

そしてあいつが産まれたこと。


これが走馬灯ってやつなのか?



まぁ良い、少しの間だけ付き合うとしよう。

このまま時間を潰すのも悪くない。

どっちに転ぼうが俺にとっては良いことなのだから……。




「角田って変だよね」

これは小学4年生の頃にクラスメイトから始めて言われた悪口。

今考えれば、これは悪口なのか?と問いたくなるような内容だけど、当時の俺からしたら結構なダメージを食らった。


子供の社会ってのは小さな村のようなもので、そこから弾かれてしまった人間は村八分のような扱いを受けることになる。

小学生や中学生にとってイジメの対象になるっていうのは大人が考えるよりも深刻な問題で、今まで“普通”の人生を歩んできた教師にはただの子供のすることだと甘く見ている節があるが現実はとても残酷だ。


考えてもみてくれ、学校ってのは閉ざされたコミュニティー。

学校という箱に人間ぶち込んで、そこでの生活を余儀なくなれる。

もしそこで異端という扱いを受けたが最後、ずっとその箱で無条件の苦痛を強いられるんだ。

数の暴力でひたすらに攻撃を受ける。

逃げることすら許されない。この日本は逃げることは悪とされているし、教師はイジメも受けたことのないような甘い人間だ。


それに助けを求めたところで、対して変化はないし子供のいたずらだと軽く考え謝罪させるってのが関の山だろう。


少なくても俺の学校の教師はそんな奴らばかりだった。



「角田って変だよね」

だから俺は始めての悪口に俺は酷く怯えた。


自分は変わっているのか?

みんなとは違うのか?

どこがダメなんだろう?


そんな思考に縛られ、俺は消極的な人間になった。

もともと超ビビりってのも影響してると思う。



自分の意見が言えないし行動もできない。

そんな子供は残酷な子供の標的にはもってこいだ。


人間は安全圏から石を投げるのが好きな生き物だからな。


それからの学校は地獄そのものだった。

最初は悪口。

陰口は常にされるし、所有物は隠されることもざらにあった。

それだけならまだ良い。

クラスのグループに囲まれ暴言、暴力。


もともと友人が少ないっていうのもあって助けを求めることもできなかった。

両親も仕事で忙しく、あまり学校には干渉してこないし、そもそも親にはイジメのことを隠して生活をしていた。

イジメを相談することって結構勇気のいることだし、子供ながらに気を使っていたってのもあると思う。


そんな生活を送っていると人間って壊れるってもんだ。

俺は狂気に囚われた。


力があれば、この状況を打開できるのではないか?


そんな思考に陥った。


でも、そんな力どこにもないよね。

都合良く力が落ちていることなんてないし、非力な子供一人では環境の変化は無理。


しかしその思考は俺の頭、心に深く染み込む。

言ってしまえば、世界は弱肉強食であるということを小学生のガキが理解したってことだ。

格好つけすぎたかもしれないけど、つまりはそういうこと。


世の中は力が全てで、力があれば弾圧されることもない。自分の身を守れるし、穏やかな心でいられる。


小学校の俺はそれを学んだんだ。



草食動物が弱肉強食の思考を手にいれた。

ただ食われるだけは嫌だ。

ただ支配されるのは嫌だ。



それからの俺はただひたすらに力を求めるようになった。

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