彼女の説明 その2
「話をはぐらかす形になっちゃいましたね、えへへ。」
バツが悪そうに彼女が笑う
「いや、良いよ、話なんて脱線するもんだし。」
大抵俺の話なんて聞いてくれた奴いないし
「えーと、貴方を含めた、の所なんですけどね~ちょっと説明し辛いというか。」
うん?そんな躊躇することなのか?
「よく、〈腕が邪魔だ、取ってしまいたい。〉と、思われますよね?」
こちらを伺うような、不安な表情で彼女は見てくる。
「んー、まあ、うん、誰にも言ったことないんだけどなー。」
実際邪魔だと思う事もある、寝るときとか、腕の置場所に困るし。
「あー、そうか、他にも、〈内臓の動きに意識を向ける〉とか、〈心臓の脈を遅くする〉とか、そういうイメージしてますよねって話?」
そういう事なら
怪我をした部分の血管を縮める、とか。
筋肉の収縮を意識的に強める、弱める、とか。
「肉体の動きをコントロールする、なら皆してんじゃない?背筋で背骨を引き上げるイメージで荷物を持ち上げるとかしないとぎっくり腰になりそうだし。」
「アスリートならするかも知れませんよ?でも貴方の場合、〈それぞれの器官を道具と見なしている〉という所がポイントでして。」
何故だか表情が暗い
「心と体を、完全にとは言いませんが、切り離して考えているので、だから、その、体を道具と見なして、尚且つ尊敬しているから、通常あり得ない人の体に付喪神が憑く、ましてやこの環境がそうさせたのか、意識と体を持って存在するという私ができたのです!マスター!!」
彼女の、その嬉しそうな表情を見て、自分の心が動かされた、そんな気がした。