彼女の説明 その1
「と、その前にクイズです!」
説明してくれるんじゃないのかよ
「なんでしょうか」
とりあえず答えよう、時間は腐るほどあるし、神(仮)が来るまでは。
「あなたが買った石は?」
「修学旅行のお土産で買って5日で無くしたやつ?バスに落としたっぽいよねー。綺麗だったのに」
「因みに種類は?」
「確か水晶みたいな中に茶色い流線模様だったよ?それがどう」
「初めて買った財布は?」
話終わってないやろが
「...オレンジと黒の財布、初任給で買って2ヶ月持たないでチャックだけ壊れた」
「なんで捨てないんでしょう?」
「え?いや、なんでだろ、なんか捨てたくない?かな?」
あれ?そう言われると?壊れた物を使うんならせめて修理くらいするべきだよな?
「今使ってるベルト、いつから使ってます?」
「中1からだけど?」
「そうです!貴方の物への姿勢、それが私を生んだのです」
え?どゆこと?物は大切にするし、完全に壊れたら捨てるし、そんな姿勢なんて...
「大したことしてないと思ってますね」
!
「わ、かるものなの?」
ええ?心読む系の類い?
「そんなにきょとんとしていたら判りますよ~
でも、自分が捨てた物の事、忘れてないでしょう?」
「古着とか?時計は4つ変えたな、財布も仕事初めてから買い替えたし、バッグも二回は買い替えた」
そういや社会人風を意識してそれっぽいの買ったけど、カビさせちゃったな、悪いことをしたな
「そこです、悪いことをしたなの所です」
「やっぱ心読む系...」
「いや、喋ってたじゃないですか?」
は?え?
独り言の後遺症が...
「どうしたんです?頭抱えて。」
「いや、気にしないで。」
「貴方は無意識に道具全てに敬意、といっていいんでしょうかね?を払っていましたから。付喪神は長年をかけて感情を込められた物に宿るのです、他人と比べた時の貴方の感情の込めっぷりはそれこそ心が読める人なら引くレベルです。」
ええ、普通だと思ったけど
「そんなに?」
「そんなにです!ドン引きです!」
ショック...付喪神にドン引きされてる...いやどんな状況だよ。
「それで?俺を含めた全てって?例えばクローゼットの手前から二番目の服のポケットにしまいっぱなしの眼鏡とかも?」
「ええ!あれにも私が憑いています!それより一切使わない眼鏡の場所事細かに覚えてる方にドン引きです!」
ドン引きし過ぎやろこの子...てか
「あれ?なんで緊張しないで普通に話せてるの自分?」
そういえばそうだ。
人懐っこい性格とはいえ、
綺麗な白髪に整った鼻梁。
長い睫毛に透き通るような赤い瞳。
まず現実に存在しないだろうし、大体俺は人をこんなまじまじと見れないタイプだし。
「私は付喪神ですからね、道具寄りなんですよ、大事にするでしょう?道具、そ、れ、に、胸も見てくださいよ!この程よい大きさ!果物で例えるならグレープフルーツ!どうですか!揉んでみたくないですか!」
「だーかーらー!年頃の女の子がそんな事言うんじゃありません!」
恥ずかしいだろ!俺が!