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入学式
おれは、ポケットからタバコを取り出す。
ジュ・・・ふぅ。
少し気分が和らいだ。
多少緊張していたのかもしれない。
睡魔がジワリと押し寄せる。
まずい、夕べは呑みすぎた。
とは言っても、レモンサワーガブ飲み程度だけどな。1リットル。
まあまあおおいな。
・・・ふぅ。鼻腔のすぐそばを、煙が燻りながら上昇気流に乗って、
気球のように飛散して行く。
タバコってナンナンダロウ・・・
高校デビューと言えば、聞こえはいいか・・・
ナンだか、起きそうな予感がしないでもない・・・
なにがおきる・・・
ドンッ。
っと、前によろける俺。
どうやら肩がぶつかったらしい。
右を振り返る。
謝ろうと思った・・・けど、
言葉が出なかった。
まあ、タバコくわえてたせいもあるかもしれないけど。
咥えてたそれは、ゆっくりと地面に向かう。
俺はそれをみていない。俺がみていたのは、
一人の女だった。
ぶつかってきた女だった。