表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/6

第四話 吾輩は猫である!(キリッ

少し、短めです。








『シュレディンガーの猫』というものを知っているだろうか。









これは、「重ね合わせの原理」を猫の生と死によって観測する思考実験のことである。


まず、蓋のある箱を用意して、この中に猫を一匹入れる。箱の中には猫の他に、放射性物質のラジウムを一定量と、ガイガーカウンターを1台、青酸ガスの発生装置を1台入れておく。もし、箱の中にあるラジウムがアルファ粒子を出すと、これをガイガーカウンターが感知して、その先についた青酸ガスの発生装置が作動し、青酸ガスを吸った猫は死ぬ。しかし、ラジウムからアルファ粒子が出なければ、青酸ガスの発生装置は作動せず、猫は生き残る。一定時間経過後、果たして猫は生きているか死んでいるか。

だが、俺はこう言いたい。


「箱を叩けば、猫の鳴き声とか聞こえてくるよね?」


だって、おかしいじゃん。

生き物なんだよ?

生きてれば呼吸の音が聞こえてくるだろうし、死んでいれば何も聞こえない。

だからこの実験は、俺に取って何の意味も無いのである。







っと、どうでもいいことを話してしまった。

どうせなら、こいつ等を箱詰めにしようかと考えながら、縄で巻かれたエルサス達を倉庫に放り込む。

団長の指示だからしょうがない。


「こいつ等どうするの?」

倉庫をの鍵を閉めていると横からノエルが顔を出す。

「なんか下っ端みたいだし、拷問して情報を引き出そうかと思ってる」

「へぇ。鬼畜だ」

「いや、ちょっと待とうか。俺、嗜虐趣味は無いぞ」

何故にノエルはそんな勘違いを!?

「カルさんが、ゼタ君はドSって言ってたから」

「よし、あのくそドワーフ屠る」

俺の中で決定された。


アイツコロス。








そんなある日、事件が起きた。

集会で、団長が急にこんなことを言い出した。

「ごっめ〜ん。もう劇場を借りる金もないの!」

その瞬間、団長以外の劇団員が皆絶句する。


そして、


「フッザケンジャネェゾこの糞団長—!」

「馬鹿か? 馬鹿なのか?」

「もっと前から言っとけや!」

「死ね寧ろ死ね!」

不満が爆発した。



当然だ。

それくらいのことは、早期に言っておけば幾らでも金策できる。

しかし、こうなってはもう手遅れだ。

劇場を借りる金もないなら、劇で稼ぐことは不可能。

ま、まさか、解散とか言わんよね?

「大丈夫。金策は用意してあるから、それまでは……」

そう言って、団長は手を叩いた。

「各自で稼いで! じゃね『テレポート!』」

転移魔法の詠唱と共に、団長が消える。











「「「「「ふざけんじゃねぇぇぇぇええええええええ!」」」」」












団員達の叫びが、木霊した。










会議の結果、団長を『シュレディンガーの猫』と同じ目に遭わせることが決まった。

あの団長のことだ。

苦しみはすれど、死ぬことはないだろう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ