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第二話 ハロー異世界。え?















いなくならねぇ。


つか、バトってる。めっちゃ生存闘争してる。

何の地獄絵図ですか? 逃げて良いかな?

もういいよ。好きにしろよ。

そう思っていたら、決着がついた。

片方の狼達が壊滅。

『アオォォォォォォォォォン!』

リーダーの狼が叫び、その体が光る。

思わず目をつむってしまったが、リーダーの狼から発せられる光は時期に収まり、その体は一回り大きくなっていた。

そろそろ逃げようと、後ずさる。



パキッ



そのとき、うっかり落ちていた枝を踏んでしまった。

なんて、ベタな。


……。

あー。

ヤバい。

狼達が俺を囲み始めた。

逃げ切れるか?

この狼達相手に…?。

(無理そうだがやるしか無いでしょう)


猫だまし使って、全力で逃げれば行ける! はず! 多分!

俺は、狼のリーダーの目の前で【猫だまし】を使う。




ッパァァァァアアアアアアアアアン!




瞬間、音が爆ぜた。

そうとしか表現出来ない衝撃波が、その場で巻き起こった。

衝撃波は木を揺らし、周囲の狼達をまとめて昏倒させた。


《スキル【猫だまし】のレベルが上がりました》

《スキル【奇術】のレベルが上がりました》

《スキル【手拍子】のレベルが上がりました》


……。

一つ、一つだけ言える事がある。



「ツエエエエエエエエエエエ!」











森を脱けると、草原が広がっていた。

え?

狼はどうしたかって?

そんなの、初期装備のナイフで首を掻っ切ってアイテムストレージに敵対していた狼ごと入れましたけど、それが何か?

……。

とにかく、草原に来た訳である。

「よっし。まずは街を目指そう」

意気込んで……。

意気込んだものの、街の方向がわからない。

しかし、少し遠くに野営の準備をしている荷馬車を持った集団がいるのを見つけた。

「ん? あれ、荷馬車じゃない」

どうやら、劇団のようである。

「あのー! 誰かいらっしゃいますでしょうか?」

大声で叫ぶと、テントの中から数人の人間やドワーフ、エルフに獣人といった様々な種族の人たちが顔を見せる。

「だんちょーさーん。なんか、人間族の男が訪ねて来ているんだけど」

エルフの女性が叫ぶと、荷馬車の中から黒いシルクハットに黒いマントを着た人間族の男が出て来た。

「ん? その格好……まさか君、日本人か!」

「え? 何!?」

マントの男は、いきなり俺の肩を掴んで来た。

「まさか、この時期になって転移して来るとは思えなくてさ〜。いや本当に」

「ちょっ何の話ですか!?」

マントの男は、俺の肩を揺らしてヂョクわからない事を話し続ける。

……なんなのこいつ?

「ごめんごめん。僕の名前はオスカー・オルメイン。この『カナリア劇団』の団長で、日本人だ。君から見たら、差し詰め先輩プレイヤーってところだね」

マントの男、オスカーは、両手を上げて自分の事を説明する。

マジで何名のこいつ?

「そうそう。この世界に来た人には大体こう言うんだけど、この世界はゲームでも遊びでもないよ」

「へぇ……ってはぁ!?」

っと、俺が頭の中で「何名のこいつ?」コールを繰り返していると、なんかとんでもない事を言い出した。

「ん〜。何て言えば良いのかな? ここが異世界で、僕たちは日本から転移して来た。あと、日本人は『異世界人』として認知されているね。細かいところは、全部メインメニューに載ってるよ」

「ちょっと待て、理解が追いつかない」




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

五分後

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





「なるほど。理解した」


しばらくの沈黙を置いて、俺は言われた事を全て理解した。

ちゃんとメインメニューからも確認した。


「え? 理解しちゃったの? 普通もうちょっと混乱しない? 僕だって受け止めるのに一週間はかかったよ?」

「いやいや。証拠もちゃんとあるし、疑う余地がないじゃん。それに我が家の家訓は『あるがままを受け止めろ』だし」

当たり前だ。

「えー」

オスカーは呟くと、項垂れた。






どうやら、ここは異世界らしい。

魔剣オンラインにログインした日本人が、皆この世界に転移させられたらしい。

時間を置いて、各地に転移した日本人。


ある者は発狂し、ある者は打ち拉がれたそうだ。

しかし現在は、誰もがこの世界で生きているのだと言う。

証拠は、メインメニューだ。


メッセージのところに。

『ゴッメーン。君たち異世界に転移しちゃった。魔王倒したらご褒美上げるからヨロシコ  by神』

と、チャラい神の言葉。


それと、ログオフボタンが消えていた。

証拠としては十分だろう。多分。


「じゅう……ぶん?」

劇団の一人が怪訝な顔をするが、気にしない。

「えっと。とりあえず、僕からはこの言葉を贈りたい。

ようこそ、異世界へ」

オスカーは、両手を拡げてそう言った。




さて、これからどうするか……。








ゼタ プレイヤー Man

人間種

スキル

【蹴りLv9】【跳躍Lv1】【猫だましLv2】【奇術Lv2】【歩行Lv9】【手拍子Lv2】【聞き耳Lv8】【踏みつけLv9】【天気予報Lv2】


受験生なのに、投稿してる俺って……

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