第一話 俺はVRを……『オオカミが現れた』ギャー!
頑張ります。
「種族は人間種で。……うん。外見は、髪型と髪色さえ変えれば良いだろう」
髪が灰色ロングになった俺の姿を見て、うなずく。
俺は今、あるゲームのキャラクター設定を行っている。
何のゲームかって?
もちろんVRMMOである。
なんか剣と魔法の世界っていう設定で『マギブレイドオンライン』って名前らしい。
とにかく、そんな通称魔剣オンラインをプレイしようと思っている訳だが、スキル設定で迷っている。
このゲームは、レベル無しのスキル制で、全ての行動をスキルで補助する形になるらしい。
職業もなし。
ステータスはスキルで上がり、武器もスキルで強化出来る。
非表示なので、ステータスには迷わず済むのだが……
「スキル、マジでどうしよう」
【剣】【槍】【弓】【格闘】【銃】【魔法】【釣り】【…etc
あまりにも、初期に選べるスキルの数が多すぎて困る。
なにも、ここまで多くなくても良いと思います。
条件で絞ってもまだ多い。
人気のスキルとかもあるらしいが、正直言って選びたくない。
俺は、長い物には巻かれろという考えが大嫌いなんだ。
「そうだ」
思いついて、検索覧に「不人気スキル」と打ち込む。
すると、十個のスキルが出て来た。
初期に選べるスキルの数は10個だ。ちょうどいい、全て取ってしまおう。
俺は、スキルを選ぶと決定されたステータスが表示された。
ゼタ プレイヤー Man
人間種
スキル
【蹴りLv1】【跳躍Lv1】【猫だましLv1】【奇術Lv1】【歩行Lv1】【手拍子Lv1】【聞き耳Lv1】【踏みつけLv1】【天気予報Lv1】
見事なまでの誰も選びそうにないスキルの集団。
完全にネタキャラだな。
俺は満足して、決定ボタンを押してゲームを始めた。
やっべ。
VRなめてたわ。
圧倒的なまでに、リアルな森を歩いて思う。
マジで凄い。
あと、森を歩くのが結構楽だ。【歩行】の効果かな?
街に行きたいと思うのだが、方向が全くわからない。
ここら一帯を探索すれば良いか。
《スキル【歩行】のレベルが上がりました》
《スキル【蹴り】のレベルが上がりました》
《スキル【踏みつけ】のレベルが上がりました》
《スキル【聞き耳】のレベルが上がりました》
しかし、スキルのレベルがどんどん上がる。
上がっているスキルのレベルは既に7だ。
歩行はもとより、【蹴り】や、【踏みつけ】のレベルまで上がる。
【天気予報】では、一週間先まで晴れ。なので、森を探索していても問題は無い。
なんだよ。結構便利じゃん。
と、そのとき、何かが動くのが【聞き耳】の効果でわかった。
そーっと【歩行】で、音を立てないように近づくと、体調二メートルを超える狼が二頭。それぞれの後ろに十を超える黒い狼達が睨み合っていた。
……こ、こえー。
何あいつら、何あいつら、何あいつら。
めっちゃ怖いんですけど!?
絶対に倒せないよね?
俺には無理、不可能。
せめてこいつらがここからいなくなるのを待とう。
頑張りました。