モノリス配達完了
キーーーーーッ
タイヤの悲鳴と共にスピンするバギーから天を仰ぎ見る、陸橋に人影を見つけるリッキー、狙撃者か・・・止まるバギーに再び銃撃されようとする瞬間
ガシャーーーンキーーーーーゴゴゴゴゴーーーーーー
轟音と共にトレーラーがバギーに突っ込む。金属の擦れる音と火花を散らし引きずられ止る。横転するバギー。
体のあちこちがギシギシ痛むが何とか這い出る。
(チッ!バギーはオシャカか)
運よくか陸橋の真下に止まっていた。
「・・・ズィー・・・」
ふらふらしながら、陸橋の柱に寄りかかる。
「リッキー、大丈夫?トレーラーを操作したけど、陸橋の下に止まった?」
「ああ・・・何とかな・・・どうすればいい・・・」
服を口で破き止血しながら話す。
「今、陸橋の柱を背にしてる?右を見て、そこを飛び越えられそう?」
「おい・・・あいつを・・・倒さなくて・・・いいのか?」
「心配しないで、こちらで処理するから」
「そうか・・・」
3m程先の壁の切れ目を見る。膝ほどの高さになっている。
「ああ・・・多分・・・」
「5秒で飛び越える事出来る?」
「あの距離なら何とか・・・」
「あの場所の位置覚えて、目を閉じても行ける位に」
「分かった。」
「準備はいい?」
「ああ」
「3・2・1・GO」
辺りが真っ暗になる。足を引きずり走り出すリッキー。(人工太陽まで操作できるのか)
5
4
3
2
1
ハイウェイから転げるように飛び降りるリッキー。
ドサッ柔らかいクッションに体が沈みこむ。と同時に悪臭が鼻を突く。
「隠れてリッキー!」
下へ潜り込むと同時に辺りが明るくなる。
ゴミ収集トラックだった。信号が変わったのか走り出す。
ドゴーーーーン
トラックが揺れる。先ほどのトレーラーが爆発したようだ。
「これでOK」
「OKって・・・おい・・・トレーラーの人は」
「心配しなくても無人トレーラーだよ」
「そうか・・・」一安心すると同時にズィーの潜在能力に恐怖を感じるリッキーであった。
しばらくするとズィーから無線が入る。
「もう這い出ても大丈夫。ナビにマーキングしておいたから、そこに着いたら降りて」
「ああ・・・分かった」(簡単に言いやがる)
信号で止まる。
(ここか)
飛び降りるリッキー
「っ痛ぅ」
(ここからなら、もうすぐだな)
足を引きずりながら歩くリッキー。
「ズィー・・・誰かきた」
小声で震えながら指示を求めるシャーリー。
「柱の影に隠れて、大丈夫気付かれないから」
「うん」
そっと隠れる。
全身黒いスーツを着た男は、窓際へ近づくと細長いカバンを下ろし中から何かを取り出す。
「じ銃?!」
息を呑むシャーリー。
「シー気付かれるよ、落ち着いて。ビーム銃のダイヤルを僕の言うとおり回して。まだ撃っちゃだめだよ。」小声で指示するズィー。
「え?撃つの??」ガタガタ震え出すシャーリー。
「安心して、気絶させるだけだから」
ダイヤルを指示通り回す。
寝そべって窓の外へ銃口を向ける男。
足を引きずり歩くリッキー
(もうすぐだ、頑張れリッキー)
「リッキー気をつけて、目の前の建設中のビルから狙われている。」
「またか・・・」
「大丈夫、建設用の壁が途切れたら3歩歩いて倒れて」
「無茶ばかり・・・分かった」
「シャーリー姉ちゃん構えて、カウントするからその時撃って」
座り込み方膝を立てて腕を固定すると男を見る。自動的に照準が出る。
「シャーリー、3・・」
(さ、出るか)息を整えリッキーは、覚悟を決めて出る。
「2・・1・・」ビーム銃のグリップを握るシャリー。
男の銃口、シャーリーの銃が同時に光る。
ドサッ
倒れ込むリッキー。
道を挟んだ向かいの店のショーウィンドーに風穴が開く。
ガシャーーーン ショーウゥインドウが割れる。
辺りに視線を配るリッキー(良かった誰も犠牲者が出てないようだな)
男は振り向くと仰向けになり動かなくなった。
「シャーリー姉ちゃん、急いで一時間程で男は、蘇るから!」
階段を駆け降りるシャーリー。
ビルから出ると倒れ込んでるリッキーを見つけ駆け寄るシャーリー。
「リッキー?!」
振り向くリッキー
「大丈夫?!」
「ああ・・・何とか・・・命に別状はないが・・・体中痛い」
肩を貸すシャーリー、立ち上がると、ゆっくり歩きだした。
「もう大丈夫だよ。危機は、去ったから。」
「大丈夫じゃないじゃない、ボロボロよ!」
「もういい・・・シャーリー・・・早く帰ろう」
治安維持隊のサイレンをよそ目に帰る二人。
ヘトヘトになりながらグロリアに着くとズィーが出てきて肩を貸す。
急いでリッキーの治療に入った。
泥のように眠り込むリッキー。
「急いでシャーリー奴らが来る。」
急いで操縦室の席へ座るとズィーが操縦をし急発進をする。
火星を出発すると一息ついた。
「ここまでは、来ないから安心してシャーリー姉ちゃん」
「ズィー、こんな危険な事ばかりじゃ、リッキーがいつか死んじゃう!」
感情をぶちまけるシャーリー。
諭すようにゆっくり話すズィー
「大丈夫だよシャーリー姉ちゃん。リッキーは、あれ位日常茶飯事だし、僕がいるから死なせたりは、しないよ。勿論シャーリー姉ちゃんも守るよ約束する」
少し落ち着くとリッキーの元へ向かうシャーリー。
どれくらい眺めていただろうか、リッキーが目を覚ます。
「悪いなシャーリー、ずっとそこで見守ってくれてたのか。」
泣きそうな顔で頷くシャーリー。
「心配かけてすまんな。でも、こんなことは慣れてるから、シャーリーには、少し衝撃的だったかな。」
頷くシャーリー。
「大丈夫、俺は死なない。シャーリーは守る。ズィーがいる限り俺達は、心配しなくていい。あいつは」言葉を飲み込む(恐ろしい位の存在だ)
「何でもない。とにかく安心しろ。そんな顔するな」そういうとシャリーに向かって笑顔を見せるリッキー。
泣き顔から笑顔になるシャーリー。何か軽くなった気分になった。
「シャーリーも休め、俺は、大丈夫だから」
「ありがとう」
そういうと休みにいった。