モノリス配達完了?
ズィーは、巧く操縦をこなし、無事火星へと到着した。
「火星の地下にこんな都市があるなんて!」
繁栄した都市をみて驚くシャーリー。
「ここは、地表には、放射線と大気が薄いのと急激な温度差のため住むことが出来ず地下にこうして都市を作った。一応人工太陽があり、昼と夜がある。多くの種類の異星人が暮らす移民惑星だ。」
一通り説明を終えるとリッキーは、モノリスを大事そうに抱え運搬用バギーに乗せ変えた。
「ちょっと待って、これを。」
ズィーは、二人に小型無線機を渡し装着を促す。二人は、それを着ける。
「多分僕が必要な時がある。その時は、指示するから」ズィーは、そう言うと操縦室へ戻った。
「あ、そうそう二人共聞こえる?これからシャーリー姉ちゃんは、ここへ行ってほしい。今からナビで案内するから。そしてリッキーは、普段通り配達してここに戻ってくるようにね。指示は、その都度送るから。行ってらっしゃい。」
二人は、ナビを見ながらそれぞれの場所へ向かった。
(そうか、やはり俺達は、狙われてるのか・・・そうなら狙われるのは、無事に配達が終わった後・・・ズィーの言い振りでは・・・)
バギーに乗ると研究所へと向かった。
(あたしに任された仕事って・・・とりあえずこの場所に向かえばいいのね)
船外へ出ると同時にズィーから無線が入る。
「シャーリー姉ちゃん今から1時間後に所定の場所へ行ってほしい。徒歩で行ける距離だから。じゃあ僕は、少し休むね。」
街を見て回るシャーリーいつもの癖で少しだけなら・・・とウィンドウショッピングを始める。
バギーを走らせるリッキー。(混んでるなこれじゃあ狙われても逃げ場がないな)ハイウェイに乗る、スムーズに走り始める。
(ここで狙われるとすれば車からか・・・)
色々考えながら都市を抜け森林に囲まれた目的地へと着くリッキー。
大きな建造物の前に立つ守衛室に配達に来たことを告げると研究所の一室へ案内される。
「こちらで少々お待ちを。」
そう言うと守衛は、戻っていった。
ノックの音と共に入室する女性。「はじめまして、私の名はシャンディ、ここの施設の主任研究員です。無事にこれを送り届けて頂きありがとうございます。」
ハキハキと話すシャンディ。
(アーシアンか)
主任を任されてるためか、年の割にはしっかりしてる印象に好感がもてる。
「では、約束の報酬でしたね。今入金したわ。」
端末で入金を確認するリッキー。「確かに。では、こちらにサインを頂けますか?」
サインをスラスラ書く。
「このことは、決して口外しないで下さい。」
と予想通りの事を言うシャンディ。
「はい。これは、仕事上、個人情報に関することなので、どのお客様にも情報を漏らさない事を鉄則としております。ご心配なさらず我々の仕事は、信用第一なので。」
サインを確認すると
「ありがとうございました!またのご利用お待ちしております。」
と頭を下げ一礼するとシャンディの顔をみて笑顔を向ける。シャンディも笑顔で返す。
「お気をつけて」
命を狙っているように、見えない顔だった(指示してるとするとここの所長か?)部屋を出ると守衛が戻ってきて外まで案内される。
(さて、これからか・・・)
一息つくとバギーに乗り帰り始める。
ウィンドウショッピングを楽しむシャーリー、ふと思い出したかのように時間を見る。45分過ぎていた。
(しまった・・・どうしよう・・・)
焦るシャーリー。走り始めるシャーリー急いでズィーに連絡を試みる。
「ごめんズィー、実は間に合いそうにもない・・・」
息を切らしながら呼びかける。
「ん~道草でも食ってたのシャーリー姉ちゃん。仕様がないなぁ・・・ちょっと待って時間を稼ぐから。」
ズィーは、操縦席に腰かけながら少し目を閉じると指をパチンと鳴らした。
「シャーリー姉ちゃんこれで大丈夫!でも急いでね。」
帰り始めたリッキーのバギーが突然止まる。
(チッこんな所で、どうする?早くこんな所去りたいんだが・・・)
何度も起動を試みるも動かない。研究所とは、目と鼻の先だ。建造物の陰が不気味さを醸し出す。ズィーに連絡を取るリッキー。
「実は・・・」
「心配しないで、こんな目と鼻の先で狙われる事は、ないから、シャーリー姉ちゃんがトラブって目的地に着くのが遅れそうなんで、ちょっとの間バギーを止めさせてもらっただけだから。」
「それを早く言え。焦ったじゃないか。」
「ゴメン」
「で動くんだな?」
「動くよ、動いたら普段通り帰ってきて。その都度指示するから。」
ここ?目的地を示す場所は、建設中のビルであった。再び連絡するシャーリー。
「ここの5階に行って、エレベーターは、使わずに、5階に着いたら足音を消してゆっくりでいいから慎重に右から二つ目の部屋の右端の一番窓側の柱に隠れてて言うとおりに動けば危なくないから」
「分かった。信じてる。」
いわれた場所へ行くシャーリー。
突然起動するバギー「よし出発だ。指示をくれ。」
「まずハイウェイに乗って」急いでハイウェイに乗るリッキー。運よくスムーズに動いている。尾けられてる様子は、なさそうだ。順調に走らせるリッキー。
突然のズィーからの指示「前方・・・00m、右に避けて」
「え、聞こえん!」
勘で右に逸らす、と同時に左肩に激痛が走る。
「ズィー・・・撃たれた。」
激痛のためハンドル操作を一瞬誤り必死に立て直そうとするが不安定に左右にぶれる車体。壁と接触し火花と共に大きく弾かれる車体。
(チッここまでか・・)