月へ到着!シャーリー&リッキーの初仕事
「シャーリーもうじき月につくぞ。操縦室へ」
船内放送がなる。
操縦席へ座るシャーリーの眼前に光り輝く都市が見えはじめた。
「月ってこんなに発展してたんだ!キレイ!」
シャーリーは、瞳をキラキラさせながら目の前の光景に感動する。
「ここは、君達がいう月の裏側で100年程前にレア資源の鉱脈が発見されたんだ。それから、資源ラッシュとなって投資家達の投資対象へ、仕事を求める労働者達が集まりそこへ都市が出来、今では宇宙一の人口密度、と有数の歓楽街をもつ都市となった。きっとここでは、仕事の依頼も豊富にあるはずだ。」リッキーの頭の中は金儲けの事でいっぱいになり、期待で瞳をキラキラさせている。
「さあ着くぞ」リッキーは、管制官の指示を受けスムーズに着陸する。
船を止めシャーリーにナビとインテリアを買う金を渡すリッキー「ここは、かなり繁栄した街で女の子一人でも安全だから、俺は、積荷の配達と仕事の依頼を探してくるよ。」
一旦別れる二人。
ナビを眺めるシャーリー。
(まずここは、宇宙で流行ってるファッションを押さえとかなきゃ)
ブランド街らしき場所を見つけ足を運ぶシャーリーであった。
荷物の配達を終えひと段落するリッキー、運び屋ギルドへ足を運ぶ。掲示板を眺めるがなかなかいい仕事が見つからない。はぁ~・・・一息入れてとりあえず一杯飲みに行くか。
(ここがブランド街か、ウィンドーショッピングくらいならいいかな)
渡された小遣いと値札を見比べるもののため息がでるばかり。ナビを再び眺めるアンティーク市もあるのか、かわいい物あるかも・・・)
立ち飲みやに足を運ぶリッキー、酒を口にしながら情報端末に目を通す。旦那、だんな、だ・ん・な!
振り向くリッキー言葉使いとは裏腹に小奇麗な青年が立っていた。
「隣よろしいですか?」
「ああどうぞ」
「私こういうもで・・・」
名刺には、古代文明研究所とかかれている。
「旦那にお願いがあるんですが、月で発掘されたあるものを極秘裏に火星の研究所まで運んでほしいんです。公には出来ないため、企業や運び屋ギルドには依頼することができなくて・・・勿論報酬は、はずみます。そうですねギルドの最高額の5倍位と考えて頂くと結構です。」
「断るとどうなる?」」
「今の時点では、何もおきません。ただ後日内容を話します。そうなれば断る事は、命を危険にさらす事になるかもしれません。」
「ただ依頼受けるだけで前金、報酬の25%を払いましょう。成功後は残りの報酬で。」
「怪しい・・・信憑性はあるのか?」
「まあ信じてくれなければ他をあたりますよ」
「つまり報酬の25%で命を危険に晒すという事か。考えさせてくれ。」
「いい返事を待ってます。」
男は手書きのメモを渡すと去っていった。残りの酒を一気にあおると席を去った。
(ここがアンティーク市かぁ結構人多いし広いわね)
辺りを見回すと骨董品の数々が目に映る。アクセサリーなど一つ一つ食い入るように品定めしていく。一つのものに目が止まり思わず手に取る。
「お客様お目が高い。それはとある貴族婦人が愛用してた爪に塗るアクセサリーです。」
「ネイルかあ。」
「月齢に応じて模様が替わる。模様は月の柄です。」
値段を見る・・・少し足りない。「まけておじさん。」
「だめだね!」少し考える。諦めきれず置いておくように頼み、他にも市を吟味していく。。。
足を止めるシャーリー、畳が高価な値段で売られている。
「おじさん。畳なんでこんなに高いの?」
「ああ地球が無くなって地球の物が高騰してるんだよ。」
「え?じゃあ畳買取してたりするの?」
「もちろん!高価買取しますよ!」
「ほんと!じゃあ売るからきてくれる?」
「畳をお持ちですか?もちろんいいですよ!」
宇宙船のリッキーの部屋に案内するシャーリー。とりあえず2畳残し売る、これでインテリアとネイルを買うお金が出来たわけだ。買い物を終えると宇宙船に戻る。
(そうだ宇宙船の名前を変えなきゃ)
月にあったホームセンターでカラースプレーを買った。
シャーリーは長い金髪を書き上げて止めると窮屈そうなツナギの上半分を脱ぎ白いタンクトップになるスプレー缶を握り船体を見上げながら書き始める・・・モスグリーンの船体に真っ白な文字が走る・・・
Gloriaと筆記体で書く。
(今日から君の名はグロリアよクールでしょ。)
次に部屋を飾った。二十歳の割りには、ピンクを基調とした少女趣味のインテリアが並ぶ部屋になった。
宇宙船に戻るリッキー、操縦室へ着くと先にシャーリーが座っており爪の手入れをしていた。シャーリーの近くに置かれていたネイルをふと手にする。マジマジと眺める。
「シャーリー、これどうした?」
「買ったぁ」
「これかなり高かっただろ、お金どうした?」
「安かったわ」
「うそつけ!この紋章、貴族のものだろ?」
「ごめんばれたぁだってキレイだったから」
「金はどうした!」
「畳を~(ぼそっ)」
「た、畳を売った~!」部屋へ走るリッキー、後を追うシャーリー。部屋をみてへたり込むリッキー。
「あっ2枚はあるし布団敷けるじゃん!」
「そうやな・・」
「ごめんリッキー」
「もういいよ仕事請けてまた買い戻せばいいから・・・あはははは」
「明日仕事請けるから一緒についてこい」
翌日メモに書かれた建物へと向かった。
先日会った青年がロビーまで向かえにきて、部屋まで案内される。
ノックするとどうぞと聞こえ中へ入る。
初老の男性が座っており、古代文明研究所 所長という軽い挨拶を終えると本題に入った。
「あなたがたに運んでほしい物は、こちらです。」
テーブルの上に置かれた黒い物体。
「なにこれ~ゲーム機?」
素手で触り始める。
「こらやめろシャーリー!」
「ごめん。テヘッ」
「申し訳ない。以後気をつけます」
「いやいやそうお硬くならず、お嬢ちゃんにはゲーム機に見えたか?古代のゲーム機・・・面白い発想ですね。これは、モノリスです。半年程前資源採掘中に発見されたものです。ただここでは、何も調べる設備がないため火星まで運ぼうとするが今まで何度も失敗している。あるものは、原因不明の計器故障に見舞われ航行不能に陥ったり、ナビが狂い何度も月に戻ってきたりと最新鋭機ですらトラブルに見舞われる。そこであなたの船を見させて頂いた、逆転の発想でボロッ・ゲフン・クラシカルな」
「今ボロって言ったなあ!」
「いやクラシカルと言っただけです」
「い・」
「言っただけです!」遮るかのように言い切る所長。強引に押し切られ黙り込むリッキー。
「でそれを積んで火星まで行けということか?今まで原因不明の事故で犠牲者は出たのか?」
「いえ幸いありません!」
(何か引っかかるな・・・失敗した者の口止めはどうしてるんだ・・・末路は?・・ん~一応口止め料ふっかけてみるか・・・シャーリーの身の安全も保障しないとな・・・)
少し考えるとリッキーは所長の目を見据え話を切り出した。
「安心した。その仕事請けよう。ただし失敗した場合報酬の5割頂く」
「それは無理な話です。2割5分でどうでしょう?」
「ん~3割だ」
「分かりました。必ず成功していただきますよ」
厳重に梱包された積荷を受け取る。シャーリーが振ろうとしただけあって軽い。
これにそんな怪奇現象を起こす力があるようには思えない。
宇宙船に持ち帰ると積荷室に厳重にしまった。
さあ次の目的地は火星だ。