2.予感
遅くなりましたが、第2話です!
待って下さった方、本当にすいませんでした。
あれから、3年がたった。私とキトさんはマロニアル家で、働いている。専属医として。私は15歳、キトさんは21歳だ。マロニアル家の近くに、2人で住んでいる。
今日もいつもの朝。
朝に弱いキトさんに、私は毎朝朝食を作っている。今日の朝食は、焼きたてフランスパンにジャムをつけて食べる。私もキトさんも、それが大好きなのだ。
コンコン、とキトさんの部屋の扉を2回ノックする。反応は無い。まあそれも、いつものことで。
「失礼します」
そう言って、キトさんの部屋に入った。キトさんは、直接起こしに行かないと目を覚まさないのだ。これも、昔から。
部屋に入ると、真っ先に目に飛び込んでくる大量の本。本に囲まれた、殺風景な部屋。3年前から、変わってない。机に突っ伏して、キトさんは眠っている。その横には、出しっ放しの医学書。キトさんは、ああ見えて努力家なんだ。毎日あんなふうに、勉強しているのを私は、最近まで知らなかった。
そんなキトさんの肩を揺らして、起こそうとする。
「キトさん起きて下さい!今日の朝ご飯は、みんな大好きフランスパンですよー!私が全部食べちゃいますよー!!」
と言ったところで、キトさんはガバッと飛び起きた。
「フランスパン!」
なんとも子供のような、笑顔を浮かべるキトさん。そんなキトさんに、私はいつも通りの挨拶を返す。
「おはようございます、キトさん」
「ああ、アリヤ。おはよう、今日もお前はちっさいな」
そう言って、キトさんはニヤッと笑う。152cmの私に比べて、183cmのキトさんはとても大きい。私なんかより、とっても。
「毎日私に、ちっさいって言う人にフランスパンはあげれません」
まぁでも我慢できずに反撃する、私。
「助手にそんな権限ありません」
私が反撃して、3秒もたたないうちにキトさんに言い返された。助手という言葉、ひとつで私は何も言えなくなってしまった。
「すいません…」
平謝りで謝ると、キトさんはそんな私に目もくれず、『フランスパーン♪、フランスパーン♪』と歌いながら自室を後にしていた。
はあ、キトさんも食べてる時と寝てる時は可愛いのにな…。って、私‼︎今何を思った⁈
と、心の中で突っ込みながらキトさんの部屋を後にした。
次からやっと、恋愛小説っぽくなっていく予定です。楽しみにしてくれると嬉しいです!