ヒーローを目指した化物
「ハァハァ・・・」
路地裏に横たわった青年からは緑色の血が流れ落ちていた。
さらに青年の手足が石の様になり砕けていた。
「あ~あ、全く何でこうなったんだか」
青年は自嘲気味に笑う。
そしてこうなった過去を思いだし始めた。
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それは青年がまだ少年だったころ起こった。
『感染爆発』それが一部の人間の進化と大半の人間の衰退の始まりだった。
その病気は全くの未知だった。最初はどんな薬でも効いた。
しかしそれは最初の一回のみ有効だった。
病気は学習し急速に進化した。罹れば最後石に変わり死ぬしか無くなった。
しかし一部の人間は進化した。体の一部が石になった変わり膨大な力を得た。
そして進化した人間―進化人類―は快楽を求め始めた。
今まで死ぬ恐怖を味わいそれが無くなった進化人類は今までの鬱憤を晴らすごとく快楽を求めた。
ある進化した人間は女を求めた、ある人間は食を求めた、ある人間は人を殺す事を求めた。
進化人類は進化できない人間を人間と見なくなった。
進化できなかった人間は病気と進化人類を相手に戦うしかなかった。
少年が病気に罹ったのは戦いが五年続いたある日だった。
進化できない人間として育った少年は死ぬ事を覚悟した。
しかし病気は少年を進化させた、少年は歓喜した。
しかし周りの人間は恐れた、少年が進化人類になった事で自分達が殺されると思い少年を殺そうとした。
少年は逃げた。少年は仕方なく進化人類が住んでいる町に行った。
ここなら周りから殺されることも無く楽に生活できる、と思っていた。
しかし進化人類は少年の想像を超えるほど残酷だった。
捕まえた人間を物としか扱わず食うか遊ぶか殺すかのどれかだった。
少年はまた逃げた。あんな感性に成るのはごめんだと思った。
少年は進化人類を殺す事にした。体は進化人類だが心は人間のだ人間に理解されなくてもいい自己満足かもしれない。
そこで少年はふと思い出す。
五歳ぐらいの頃見ていた人間の敵として改造されて人間に化物と罵られながらも人間を守るために戦ったあるヒーローの事。ヒーローの最後を少年は知らないがこの状況が似ているなと少年は思った。
自分もあのヒーローみたいになりたい。
それから少年は戦い始めた。
いつか人間と笑い合える日が来る事を目指しながら戦った。
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それがこの結果か。
青年は思わず笑ってしまう。
青年の力は新化人類と戦うのに特化していた。
青年は進化人類と戦い自分が最後の進化人類になるまで戦った。
しかし人間は青年を受け入れなかった。
人間は青年の快楽は同族を殺す事だと思ったからだった。
人間は進化人類が死んだ今青年が自分達を殺し始めると思い青年を殺しにかかった。
青年は潔く死んでも良かった。人間のためなら自分の命くらいいいだろと思った。
しかし最後の最後で生きていたいと思ってしまった。
青年は逃げ切り路地裏で息絶え様としていた。
「しかし我ながら四百年も生きていられるとはな」
「誰か居るの?」
青年の声が聞こえたのか少女が路地裏に入って来た。
「嬢ちゃん、此処はあんたが来る場所が無いよ」
「ひ!おじさん!手と足が!」
少女は青年の惨状を見て駆け寄ってどうにかしようとしていた。
「大丈夫さ、嬢ちゃん」
「今母さん呼んでくる!」
「良いよ、これは助からないから」
「で、でも!」
「だったら嬢ちゃんおじさんと話をしてくれないかい?これでも寂しがりやでね
最後ぐらい人と話していたいんだよ」
「それだけでいいの?」
「俺の話を聞いてくれるだけでいいよ」
「うん、わかった!」
青年は少女に自分の楽しかった事を全て話した。
「ありがとね、嬢ちゃん、これはお礼だよ」
青年は最後の力を振り絞って腕輪を作って少女に渡した。
「ありがと、おじさん!大事にするね!」
少女はそう言うと家に帰って行った。
「まったく・・・らしくなかった・・か・・・・な・・・・・・」
青年の身体は石に成り砕け散った。
少しは面白かったでしょうか?
一次創作は初めてなので緊張しました。




