女の子の恋
「小説仲間になりませんか?」
俺のホームページに届いたある人からのメール。
それは、私の尊敬するネット小説家からのメールでした。
俺は、なぜか男の子から「女の子」扱いされたことがありませんでした。
「おい、那加一緒に遊ぼうぜ!」
「ハ、いや。」
「まぁまぁ。ほら行こうよ。」
上の階に住んでいる男の子が毎日のように遊びに来ていた、小学校低学年のころ。
女の子の友達なんかいなかった。
「おい、那加足閉じろ。」
「は?オレの勝手だろ。」
「俺」と自分のことを呼び始めた小学校高学年。
そんな俺が、たった一通のメールで変りはじめた。
「なぁ、真奈。」
「何?」
「オレ、好きな人できた。」
「へぇ。」
「何、そのうっすい反応。」
「え、何詳しく聞いて欲しい?」
「いや、聞かないで。」
「どうせあのネットで小説書いてる直仁さん(?)だっけ??
その人なんじゃないの?」
「え、何で分かるわけ?」
「なんとなく」
中学校で友達になった、真奈も同じように小説サイトで物語を書いている。
あんまり上手じゃないけれど。
でも、なぜか人の恋愛の事には、その人以上にすぐ気付く。
自分の事には、人一番疎いのに。
俺は、いつもそのことが不思議で不思議でたまらない。
人が、精一杯勇気を出して告白したのにこんなにさらっと返されるとは・・・。
何か、悲しくなってくる。
「で、今どんな感じ?」
俺が、顔を赤くして答える。
「うん、いい感じよ。今度、メール見せてあげるよ。」
にこりと笑うその顔は、誰が見ても男の子だとは思わない、
普通の恋をしている女の子の笑顔だった。
それから、数日後。
俺は、真奈に相談する事にした。
俺が最近ずっと悩んでいる事を。
「なおさんが、鈍感すぎる!」
「は、いきなり何よ?」
「だ、か、ら。なおさんにいくら、アピールしても気付いてくれない。」
「なおさん、ねぇ。そんな風に呼んでいるんだ、へぇ。」
那加の顔が再び、赤くなる。
「そんな風に、呼べって言われたんだもん。」
「だもん、かぁ。お前そんな言葉遣いだっだっけ?まぁ、恋は女を変えるって言うけどね。」
俺の背筋に、悪寒が走った。
「何、その身震い。でも、気付いて欲しいんだったら告白でもしたら?」
ここで、真奈は俺に叩かれると思っただろう。
そうしなかったのは、俺の選択肢の中に
「告白」も入っていたからである。
「はぁ、どうしよう・・・。」
パソコンの前で悩む俺。
なおさんに、送るメールの内容を考えている最中だ。
悩みに悩み、彼氏のいる友達に相談してできたメール。
内容は、こんな感じ。
『メールありがとうございます。東京に出張ですか・・・。
なおさんからのメールが、来なくなると思うととっても悲しいです。
なおさんのメールは、とっても大事にしてるので。
話は変わるのですが、
私には、好きな人がいて、告白しようと思うのですがどのような状況だったらなおさんは
思わずOKを出しますか?
ぜひ、教えてください。
この前、「告白されたのに、まったく気付かなかった」言っていましたね。
そんな、なおさんも好きです。
返事を、楽しみに待っています。』
このメールに返ってきたの、的確なアドバイスと告白を応援する言葉だった・・・。
「告白したいなぁ。」
と思う今日この頃。
「本当にはっきり言わないと気が付かないんだろうな、直仁さんって人は。」
真奈は、那加に同情していた・・・。
こんな初初しい恋がしたいです。
ちなみに、これは友達の話を元につくりました。
これを見て、相手の方が気が付いてくれたら嬉しいです。