6話「入学試験突破!!」
僕「……ふぅ」
自分の拳を見つめる。
僕も、戦えるようになっている。まだ精神と肉体が一致していないためか、この身体の本領は発揮できていないが、それもこれから少しずつ慣らしていけばいいだろう。
僕「そうだ、三条を起こさないとな」
少し離れた適当な場所にさっきの男を放りだしてから三条の肩を揺らすと、三条は目を擦りながらゆっくりと起き上がった。
僕「大丈夫か?何もされていないか?」
愛華「………?何かあったんですか?というか、ここ湖ですか?」
僕「あーーー……」
察してしまう。
おそらくこの子は、ずっと寝ていたのだろう。まったくどういう眠りの深さをいているのだろうか。
僕「別になにもないよ、僕が魚を取っているうちに襲われたらまずいから、連れてきたんだ」
愛華「それなら起こしてくれればよかったのに…」
僕「考えてみれば、そうだな」
オミナ『全生徒に告ぐ!!!』
僕「お?」
三条と笑いあったそのタイミングで、上空から大音量の先生の声がした。
オミナ『試験から七日が経過した!これで試験を終了とする!二時間以内に開始地点の砂浜に集まること!!もう一度繰り返す!試験から――』
僕「どうやら…僕達は生き残ったみたいだな」
ゆっくり余裕を持って砂浜に向かうと、ぱっとみた百数人ほどの生徒たちがそこに座っていた。
オミナ「よしお前ら!よく生き残った!これでお前たちの正式な入学が認められた!」
愛華「四百人、いや五百人くらいはいましたよね…それで生き残ったのがこれだけって…」
僕「どうやら僕達はかなり恵まれた環境で生活していたようだな」
一日目のあの男が僕達と協力する気がなかった理由は、これを予想していたからか。
食料が僕達生徒の想定よりも圧倒的に少ない可能性。この学園…とことん過酷な学園みたいだ。
オミナ「まぁ…疲れただろう。船の中で存分に休むといい」
愛華「あの先生…前は結構厳しい感じがしたんですけど、意外と優しいんですかね?」
僕「教師たちは僕らを雑に殺したりはしないって言っていたし、そうなのかもしれないな」
それから三条は少しもじもじしながら下を向いて、
愛華「あっ、あの」
僕「ん?どうした?」
愛華「あの、私達この無人島で協力するって言ったじゃないですか、でも、私まだちょっと心細くて…よければ今後も協力関係を続けさせていただけませんか?」
思ってもない言葉に僕は口をあんぐりと開ける。
僕「え…えっと、僕はこれからも協力していくつもりだったんだけど」
愛華「よっ…良かったです……!」
三条はホッと胸を撫で下ろす。
この数日間、彼女といると不思議と安心した。なぜかはわからないが、安心したのだ。
この同盟関係、しばらく続けていきたいと僕は改めて思うのだった…
それから生徒たちは解散し、僕は船の甲板で海を眺めていた。自らの拳をかためる。
今回のサバイバルで、僕は多少なりとも戦うことができるようになった。今後の目的は、僕の肉体のポテンシャルを存分に引き出せるようにすること。
この肉体の底力を、僕はまだ知らない。さっきの男と戦っていた時、僕は脱力しているつもりだった。つまりあのパワーはこの肉体の全力には程遠いということ。
僕「一体、いつになったら記憶が戻るのやら」
溜息をついて、僕は甲板から去り、しっかりと休息を取ることにするのだった…………




